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ヒズボラとの対立が懸念される中、政府と軍部 が一致していないことが明らかになっているが、政権内でも混乱が続いている。
政権内混乱
1)ユダヤ教政党は離脱するか:ネタニヤフ政権崩壊の可能性も
ユダヤ教超正統派を代表するユダヤ教政党(シャス党のアリエ・デリ氏)の要求で、政府は、イシバ(神学校)生徒の従軍免除年齢を26歳から21歳に下げることでの議論を再開させ、国民からの激しいバッシングを受けた。
これについては、ネタニヤフ首相と同じリクード党の元エルサレム市長のバルカット氏が公に反対を表明して、物議となっっている。
続いて出てきた問題が、「ラビ法案」と呼ばれる法案である。イスラエルでは、地方自治体が雇っているラビが470人おり、月給を支払っている。(9000〜43000シェケル(約40万円〜180万円/月)。しかし、ラビを雇っていない自治体も、世俗的なテルアビブとハイファを含め30ほどある。
このラビ法案が通れば、すべての自治体が、ラビを雇うことが義務付けられる。テルアビブとハイファは大都市なので、ラビは2人づつとされている。
こうなると、税金を払っている人々への負担が増えることになる。民主主義研究所は、最終的に1070人のラビが着任することが可能となり、その費用は1億2000万シェケルにのぼるとの結果を発表している。
正統派たちは、国のために祈ることが仕事とされ、働けないので免税、兵役も免除とされている。さらに税金から給与も払うということに合意できる人は少ないだろう。加えて、ラビが地方自治体の政治にも関わってくることで、女性が地方政治に関わりにくくなるとの懸念もあった。
当然ながら、国民の反発は避けられない。しかし、ユダヤ教正統は、この法案が通らないなら、政権を離脱すると脅迫していた。ガンツ氏の政党に続いて、ユダヤ教正統が離脱したら、政権は崩壊する。
ネタニヤフ首相はかなり悩んだと思うが、この法案を国会で審議する直前に、これを破棄すると発表した。
今後ユダヤ教政党がどう出るのかについては、これから審議にあがってくる、イシバ学生の兵役免除年齢を26歳から21歳にする案がどうなるかによるとみられている。
2) 極右閣僚ベン・グヴィル氏の漏洩問題
先週、ガンツ氏が戦時内閣を離脱した後、極右オズマ・ヤフディ党党首ベン・グヴィル氏が、戦時内閣へ加わることを要求したが、ネタニヤフ首相はこれに取り合わず、戦時内閣を解散して、ベン・グヴィル氏の介入を阻止した。
その後、戦時内閣に変わって戦時決断を取り仕切る限られた閣僚の組織が立ち上げられると、ベン・グヴィル氏はそれに入りたいと要求してきた。
ベン・グヴィル氏は、ネタニヤフ首相が、陰でユダヤ教政党に対し、ラビ法案を支持するので、ベン・グヴィル氏が、この決断組織に入ることを認めてほしいと言ったと表明したのであった。
これについて、ネタニヤフ首相がそこまで、ベン・グヴィル氏を受け入れていないので、事実とは思えない内容だとリクード党は反発。ネタニヤフ首相は、これをもって、この法案を廃棄したということである。ベン・グヴィル氏については、国家機密を漏洩したと激しく対立することとなった。
ネタニヤフ首相が政治家に自制を要求
こうした内部の混乱について、19日、ネタニヤフ首相は公の声明の中で、連立で共に立っている政党政治家に対し、「今はつまらない政治をしている時ではない。自制心を取り戻してほしい。」と述べた。
www.timesofisrael.com/amid-multiplying-spats-netanyahu-urges-coalition-partners-to-get-a-grip/
なんとも・・・混乱に混乱という感じである。