対峙するイランとイスラエルの戦力比較 2024.4.13

イランの軍隊 Wiki

実際にイランとイスラエルが戦争になったらどんな様相になるか、イギリスのメディアが調べたとの記事を、Ynet、NYT、Times of Israelがとりあげていた。

www.nytimes.com/2024/04/12/world/middleeast/iran-israel-military-weapons.html

www.ynetnews.com/article/rjn8us8x0

www.timesofisrael.com/as-israel-waits-for-potential-attack-what-are-irans-missile-and-drone-capabilities/

1)イラン:イスラエルに到達するミサイル9種類

NYTによると、イランの軍事力は58万人。予備役兵は20万人。軍は通常のイラン軍と、イラン革命防衛隊があり、後者の中に精鋭部隊のクッズ部隊がある。

イランは、シリア、イラクに民兵組織を置いている。レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、ガザのハマスとイスラム聖戦、西岸地区にもその分子が水面化で拡大している。

Missile Threat HPより

イランとイスラエルは1000キロ離れている。このため、おそらくは、まず、ヒズボラやフーシ派、ハマスやイスラム聖戦など側近の組織にイスラエルを攻撃させる可能性が高い。

イランからの攻撃は、戦闘機、ミサイルやドローンによる攻撃の応酬になると予想される。

イランは射程1000キロを超えて、イスラエルに到達しうるミサイルを9種類保持しているという。

missilethreat.csis.org/country/iran/

問題は、イランがこれらの武器を他国に頼らず、自給できるシステムを持っていることである。

イランのミサイルは発射されてから、1秒間に3キロ移動するという。それより早くに察知して、できるだけ遠く、できるだけ高い位置で迎撃しなければならない。

2)迎撃ミサイルと空軍では優勢のイスラエル

IDF

これらに対し、イスラエルには、各種の迎撃ミサイルシステムがある。まず、よく使われているのがアイアンドーム。このシステムは、最長120キロ先で、ミサイルやドローンなど飛来物を迎撃することができる。

デービッド・スリング(ダビデの投げ縄)と名付けられた迎撃ミサイルシステムは、2000キロ先で発射されたドローンを察知し、250キロ先で、ミサイルを迎撃できる。

長距離弾道ミサイルに対しては、アローシステムがある。

アロー2は、1500キロ先で、アロー3は3000キロ先で、弾道ミサイルを撃墜できる。10月7日以降、イエメンのフーシ派が発射した弾道ミサイルを、アロー3が3回、迎撃に成功している。

イスラエルは、空軍力において、イランに優勢とみられている。アメリカで開発されたF35ステルス戦闘機などがあるためである。

またイランは、装甲車や、潜水艦においても、イスラエルに劣っていると考えられている。

さらに、これまでに、多くの高位司令官たちが暗殺されてきたので、大きな戦争となると指揮系統で乱れが出るとも考えられている。

<石のひとりごと>

これだけの破壊武器を、作っていること事態、なんとも虚しく、愚かな話に聞こえる。こんな破壊の道具に費やされた労力と資金は計り知れない。

しかし、イランはイスラエルを攻撃するために、自主的に作ったのだろうが、イスラエルはいわば、防衛のために作らされたといえる。

しかし、イスラエルは、ハマスよりハイテク武器があることに油断して、今回の戦争を招いてしまった部分もあるという、痛い経験も忘れてはならない。

イスラエルが誇りとすべきは、武器ではなく、彼らをわたしの初子と言われる主である。この危機をイスラエルが、ただ武器により通り抜けるだけでなく、世界にその背後におられる主の存在を明らかにされるようにと祈る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。