金曜日に10月7日以来最大となる反政府のデモが4日間の予定で続けられている。昨夜3日目は、エルサレムの首相官邸周辺に集まったデモ隊数千人が、警察を突っ切ろうとして、激しい衝突となった。
警備で騎馬上の警察官に、松明のようなものを投げつけて警察官が負傷するなど、現場は暴動の要素となり5人が逮捕された。
このデモでは、エフード・バラク前首相が演説した他、デモ隊の中で、息子をハマスの人質に取られているエイナフ・ザンガーケルさんは、ネタニヤフ首相を「長子に疫病をもたらすファラオだ」と大声で非難。10月7日の対策に失敗しただけでなく、人質交渉の障害だと非難した。
この日、ネタニヤフ首相は、ヘルニアの手術を受けたあと、帰宅したところだったので、この声や混乱の様子は家の中で聞いていたと思われる。
人質家族は、ネタニヤフ首相官邸前でのデモの後、ひきあげたとのことだが、その他のデモ隊は、大統領官邸前にも再結集し、周辺の住宅地で数百人が騒いだとのこと。
エルサレムの首相官邸と、大統領官邸は、同じ地域にあり、周辺は穏やかな住宅地で囲まれている。そこでの騒動であったということである。
この混乱を受けて、さすがに、ネタニヤフ首相のライバル勢力のガンツ氏も懸念を表明し、「デモはいいが、法は遵守すべきだ」と語った。また国内諜報部シンベトのロネン・バル氏も、暴力的な反政府デモに懸念を表明した。
<反政府デモはイスラエルのためにならない:モルデハイ・ケデル氏>
中東情勢の専門家モルデハイ・ケデル氏は、こうした反政府デモが、中東各地や世界で見せ物になっており、イスラエルが内部分裂すると注目されている。イスラエルにとってのマイナス因子になると指摘した。
ケデル氏は、こうしたデモに参加している人質家族は、100家族以上いる中で、ほんの一桁の数にすぎないと語っている。
www.israelnationalnews.com/news/387804
<石のひとりごと>
今回、人質家族のエイナフさんが、ネタニヤフ首相をファラオと非難した。これは聖書に由来する話で、かつてイスラエル人たちは、エジプトの王ファラオの元で奴隷となっていた時のことに関連している。詳細は、聖書の出エジプト記を読まれたし。
出エジプト記を読むと、その当時も、エジプトから脱出できたイスラエルの民は、そのリーダーであった、モーセにかなり反抗していたことが書かれている。
状況は全く違っているのではあるが、この今のデモの様子からは、その時の様子を連想させられるてしまう。それを嘲笑うのは、イスラエルの敵であるというケデル氏の懸念はその通りなのにと思わされる。