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超正統派徴兵制度問題でガンツ氏が連立離脱を示唆
戦争中の今になり、総選挙の可能性が出てきた。国内統一党のベニー・ガンツ氏が、超正統派の徴兵免除に関する法律に期限が、今週に近づいている今、政府がこれを可決する(超正統派は徴兵を免除される)なら、連立政権を離脱すると発表した。
ハマスとの戦闘で30万人近くが徴兵された際も、年齢的に徴兵されると考えられる超正統派の青年たち6万6000人は、徴兵を免れていた。この状態をイスラエル人の多くは我慢できないだろうとガンツ氏は語っている。
また、ガラント防衛相は、この法案が、政権で大多数の支持を得て、延長されない場合なら、自分も戦時内閣から離脱するとの声明を出した。
ガンツ氏の国家統一党は、現政権のリクードより支持率が高く、ガンツ氏が離脱したら、現政権は崩壊し、総選挙を余儀なくされることになる。一方で、ガンツ氏の言い分を聞いて、超正統派の徴兵免除を停止した場合、逆にユダヤ教政党が、連立から離脱し、いずれにしても政権は崩壊する可能性が出てくる。
ネタニヤフ首相は、所属リクード党議員に対し、この法案を可決させないと、政府は崩壊すると伝えた。ということは、ガンツ氏が出るということになり、いずれにしても政府は崩壊することになるが、どうなるのかという緊張した空気になっている。
*超正統派が徴兵制拒否の大規模デモ:チーフラビが国外脱出まで示唆して脅迫
この法案の期限が近づいていることを受けて、先週18日、超正統派たちは、この法案を終わらせることに抗議し、エルサレムで、路面電車を止めての大規模なデモを行っていた。
またこれに先立ち、スファラディのチーフラビである、ラビ・イツハク・ヨセフは、もし超正統派も徴兵されるようになったら、我々は皆、この国を出ていくと述べ、大問題となっていた。
www.jpost.com/israel-news/article-791086
*超正統派の中には自らすすんで兵役に出向いた人も
なお、超正統派たちの中には、この法律がありながらも、進んで徴兵に出向いた男性たちも増えていたのであり、超正統派全員が、徴兵に反対しているわけれはない。
ネタニヤフ首相の支持率が15%という現状:アメリカとガザ情勢との関連は?
国内では、ネタニヤフ首相の退陣を求めるデモが発生している。実際のところ、ネタニヤフ首相の支持率(戦後も首相でいてほしいと答えた人)は、この1月時点で15%にまで下がっていた。(イスラエル民主主義研究所調べ)
とはいえ、右派系の人が時期首相として支持できる人はいないというのが現状である。このため、右派の一部も含めて、最も支持があるのは、元IDF参謀長官で、国民統一党党首、中道左派のベニー・ガンツ氏(23%)ということになる。
www.timesofisrael.com/only-15-of-israelis-want-netanyahu-to-keep-job-after-gaza-war-poll-finds/
これと並行して、国際社会ではイスラエルのラファ攻撃の意志が変わらないことや、ガザの人道支援状況が悪化を続けていることの原因は、イスラエルにあるとして、イスラエルは徐々に孤立する様相にある。
最友好国のアメリカのユダヤ人のシューマー上院議員が、ネタニヤフ首相は退陣し、イスラエルは総選挙すべきだと言っていることや、ブリンケン国務長官はこのままであればイスラエルが孤立すると警告。ハリス副大統領は、イスラエルが姿勢を変えないならば、なんらかかの対処もありうるとまで言っている。
人質家族や、国内の左派系の人々からは、政府は解散して総選挙を行い、ネタニヤフ首相を辞任させなければならないとの声も続いている。
こうした中でもネタニヤフ首相は、強気姿勢を崩していない。ネタニヤフ首相は退陣になるのか?その場合、ガザでの戦闘はありうるのか?国内が非常に複雑な事態になっているとともに、ガザ情勢への影響も注目されている。