ハンユニスと中部・北部ガザ市での戦闘続行:ガザ市民生活は崩壊・シンボルは自転車 2024.2.26

IDF

ガザはハンユニス・中部・北部で激戦中

パリやカタールでの交渉が行われる一方、ガザ南部ハンユニス、また北部ガザ市や中部でも、陸海空軍による激しい銃撃戦が続いている。武装ハマス多数を殺害、逮捕している。一方で、イスラエル軍でも2人が戦死。5人が重傷を負った。

以下はドローンを使って、ハマスの対戦車砲など武器のある地点を破壊している様子。

相変わらず、トンネル、その入り口、病院や学校、UNRWA地点などに、ハマス関係施設、武器などにみつかっている。以下は、ガザのほぼ全域で発見されている拠点、武器庫などの位置。

以下は、イスラエル軍がまとめたもので、あらゆる病院、学校、幼稚園、モスクなどや武器庫を置いていたのであり、これこそ国際法に違反するものだと摘発している。以下のIDFによるクリップは、ハマスが、その16年にわたる支配の中で、ガザ地区をいかに自らのイデオロギーのための道具にしてきたのかわかりやすくまとめている。

これに加えて、ハマスは、避難民の間にいるところも発見されている。軍服を機内で民間人の服装の戦闘員もいる。こうした状況下で、民間人を巻き添えにしないで戦闘ができるはずがない。これまでに死亡したガザ在住者は、3万人近くになっている(少なくとも1万2000人は武装ハマス)。

ガザ市民は限界:人道支援物資搬入の現状

戦闘が始まってから4ヶ月が過ぎ、ガザ地区にいる一般住民の生活はもう完全に崩壊している。食糧が不足し、住民は腐った食べ物にも手を出そうとしている。BBCは、栄養不良で母乳が出ないために、新生児が死亡したと報告している。国連はガザの220万人が飢餓の危機に直面していると警告する。

アルジャジーラなどは、イスラエルが人道支援物資を阻止しているとして、これは「人的災害だ」と非難の声をあげ続けている。

これに対し、イスラエルは、戦争が始まってからだけで、1万4000台のトラック分の人道支援物資を搬入させたと強調している。しかし、そこから的確に市民の手には届けられておらず、国連の食糧が略奪される光景もしばしばみられている。

それらをとりしまる警察官もいるが、アメリカはイスラエルの空爆で、ガザの警官11人が死亡したと主張。イスラエルに警察官を殺さないようにと言っているが、しかし、それがハマスなのかどうかの区別は難しいだろう。

ガザ北部では、あまりにも危険なため、国連はもはや、食糧の分配をしておらず、イスラエルに治安の安定を図るよう、養成しているという。

またガザでは、車がも道路も破壊されている。ガソリンも仮にあったとしても買える値段ではないので、人々が古い自転車を移動手段に使っているという。古い自転車を修理する人々の様子。

イスラエル軍のハガリ報道官は、イスラエルはハマスと戦っているのであり、ガザ市民は的ではないと毎回、強調している。ウオールストリートジャーナルでは、上記のような現状を語り、できるだけの対処はしているが、多くの人命が失われていることに「非常に重い」心でいると語った。

www.timesofisrael.com/hagari-hamas-deeply-embedded-among-civilians-stages-attacks-from-humanitarian-zones/

とはいえ、イスラエルの人質もこれまでの超非人道的虐待と共に、ガザの中にいるわけで、彼らもどんな状態に置かれているかわからないということも忘れてはならないのである。

石のひとりごと

ガザの人々、普通の人々の様子は悲惨のひとことである。食べ物をもらいに子供も生き残るために必死の様相である。

軍事専門家のクパワッサー氏が言っていたが、今、もうハマスの指導者らに選べる選択はあまり残されていない。イスラエルは絶対に途中であきらめないからである。

ならば、今、人質を返し、自分達がガザから出ていけばよい。それが、戦争を終わらせる一番の早道だと言っていた。

ガザの人々ももう気がついているのではないかとも思う。しかし、ではその後どうなるのかという点に、皆不安もあるだろうか。いや今はただただ生き残ることで精一杯かもしれない。シンワルなどハマス指導者が今、決断できるようにと思うばかりである。

 

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。