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ガザ北部から南部ハン・ユニスに戦闘の中心がが移行していることについて
イスラエル軍はガザ北部については、ほぼ制圧したと言っている。現在、ブルドーザーで、地面を掘り返しながら、隠れたロケット弾発射地がないか、捜索・破壊が続けられている。
しかし、危険が去ったわけではなく、イスラエル軍将校たちからは、政府に対し、この状態で、ガザ北部へ住民を帰らせてはならないとの進言書を提出されているとのこと。
エルサレムポストが伝えたところによると、これまでに、ハマス戦闘員の48-60%(1万9300人)は、死亡したか、負傷したかで戦闘不能になったと考えられている。
しかし、ウオールストリートジャーナルが推測するデータでは、IDFが無力にしたハマス戦闘員は、全体の20-30%に過ぎないと発表しており、違いが出ている。
そもそもハマス戦闘員は何人いるのかだが、戦争前には4万人強と推測されていた。ガザにはハマスの他に、はるかに小さい組織ではあるが、イスラム聖戦などもいる。ただイスラム聖戦は、2023年5月にイスラエルと5日間の戦争となった際に多くの戦闘員を失ったとみられている。
ガザ南部ハン・ユニス激戦
現在、戦闘の中心は、ガザ中南部に移行している。特に、ハン・ユニスで集中的な攻撃が進められており、この地域の奥深くにまで達する勢いにある。ガザ保健省は、イスラエル軍がハン・ユニスの病院を襲撃していると訴えている。
これに対する直接のIDFからの反応はないが、ハン・ユニスでは、病院含め、学校や家屋など、地下トンネルへのアクセスがないところは無いほどだと報告しているので、各地で激戦になっていることは間違いない。
一昨日、IDFは、深さ20メートル、長さ830メートルに及ぶ地下トンネルの中に、人質が収容されていたとみられる施設を発見。キッチンらしき部屋やトイレもある。人質を保護することはできなかったが、ハン・ユニスのどこかに、ハマスの指導者が隠れており、人質に囲まれているとみられている。
イスラエル軍は、このトンネルの破壊を完了した。
ハマス50人以上死亡・IDFも24人戦死(1日で21人)
ガザからの報告によると、ここ数日の激しい戦闘で、ハマス戦闘員50人が死亡。100人が負傷したとのこと。イスラエル軍でも、21日に3人の戦死者が発表されたのに続いて、22日、10人の戦死者の名前が発表された。
またまだ全員の名前は発表されていないが、22日には、さらに11人が死亡しており、家族に訃報が伝えられたとのこと。22日だけで21人のイスラエル兵が死亡するという最悪の事態となった。
これでガザでの地上戦が始まってからの戦死者は219人(ハマス戦闘開始以来では556人)となった。
先に発表されたのは、司令官レベルの3人で、デービッド・ナティ・アルファシ少佐(27)、アイレイ・レヴィ少佐(24)、エイヤル・メヴォラック・トゥイート少佐(22)
次に発表された10人は、予備役の10人だった。マタン・ラザル軍曹(32)、ハダール・カペルク第一軍曹(23)、セルゲイ・ゴントマール軍曹(37)、エルカナ・ヤフダ・スフェズ第一軍曹(37)、ユバル・ロペズ第一軍曹(27)、ヨアヴ・レヴイ軍曹(29)、ニコラス・バーガー第一軍曹(22)、シドリック・ガリン第一軍曹(23)、ラファエル・エリアス・モシェイオフ軍曹(33)、バラク・ハイム・ベン・バリド(33)
www.israelnationalnews.com/news/384027
この後に死亡と伝えられた11人も予備役兵だった。ガザ中央のイスラエルとの国境から600メートルの地点にある二階建てのビル2棟が倒壊した際に、それらのビルの中かその近くにいて死亡したとのこと。
詳しい状況は、まだ調査中だが、ハマスが、これらのビルから、近くで地上軍をカバーしていたとみられる戦車隊に向けて砲撃を行った直後に、そのビルで爆発が発生。その衝撃で2棟が崩壊し、イスラエル兵11人が死亡したと伝えられている。
22日、1日で21人の戦死者を発表するという、これまでで最悪の事態となった。11人のうち、7人の名前が発表されている。
モハンマド・アブ・ラティフ第一軍曹(べドウイン、26)、ニール・ビニヤミン大尉(29)、エルカナ・ヴィーゼル軍曹(35)、イスラエル・ソコル第一軍曹(24)、アリエル・モルデカイ・ウオルフタル大尉(28)、サギ・イダン第一軍曹(24)、マーク・コノノヴィッチ軍曹(35)
ハン・ユニスからラファへ逃亡するガザ群衆
ハン・ユニスが激戦になっているのを受けて、ガザ民間人たちが、こぞってラファ方向へ逃亡する様子が報じられている。
イスラエル軍は、ガザ民間人と電話で会話した録音を発表。その人物は、「ハマスがガザを100年前の状態にしたと激怒。ハマスの司令官らは海外にいるのだがから、そこを戦場にしたらいい。」と激怒しており、イスラエル軍に対して、ハマスを殺してくれと言っている。
www.ynetnews.com/article/bjo0zbzy6
逮捕されたハマス戦闘員が、ハマスより、イスラエルの方がマシだと言っている様子も報じている。
これらは、イスラエル軍による、プロパガンダだと言われるかもしれないが、それらが嘘だと決めつける理由も証拠もないわけである。
石のひとりごと
ずいぶん悲惨なことになってきた。人質を取り戻すために戦っているのだが、元気で将来ある若者が次々に命を失っている。勝利が見え始めているならいいが、先行きがどうにも見えない中で、大切な息子たちが死んでいるのである。
ハマスが4万人規模であったとして、イスラエル軍は、36万人の予備役兵を招集していた軍である。圧倒的な戦力があるようだが、ガザは恐るべし地下トンネルに罠をいっぱいにしかけている。しかも民間人がウヨウヨいる中での戦闘である。
また、イスラエル軍は、人道面や国際法などに縛られていることもあり、相当に苦戦している。国際法を考えず、世界が非難しているように、本当にガザでの虐殺を行っているなら、このような事態にはなっていなかっただろう。
イスラエル市民がどこまでこの戦争に、ついてこれるかは見通しがたたない。ネタニヤフ首相と政府は、ジレンマの頂点に立たされることになりそうである。