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ワクチン接種と感染減少傾向続く
世界最速でワクチン接種が進むイスラエルでは、一回目接種を終えた人が380万人(総人口の約40%)。二回目も終えた人は250万人(約30%)を超えた。年齢別にみると、60歳以上の90%、40−60歳の73%、16−40歳の50%が接種を受けている。(保健省)
先週から、実効再生産数が1を割った0.85となっており、新規感染者数も、日曜日1日で2534人と、減少傾向が続いている。(Corona Tracker)。死者は37人(累計5378人)とまだ多いが、重症者は、1008人(別の統計では996人)、人工呼吸器依存者は284人と、ゆっくりだが、減少に転じている。
これを受けて、イスラエル国内最大のコロナ病棟を持つシェバ医療センターでは、コロナ病棟2つを閉鎖した。しかし、再び感染が拡大することに備え、まだしばらくは通常病棟には戻さないとのこと。
*感染については、地域差があり、最も感染が残っているのは、超正統派、アラブ人人地域の両方を抱えるエルサレムで、検査数に対する陽性率は、まだ13%である。超正統派のブネイ・ブラック、モディーン・イリットでは15%(チャンネル12)
www.timesofisrael.com/as-case-numbers-drop-sheba-hospital-closes-2-coronavirus-wards/
ワクチンに関する新たなデータ
イスラエルでワクチン接種を受ける人の数が増えるにつれて、イスラエルの保健システム、クラリットが、最大人数からのデータが出した。それによると、ファイザーのワクチンを受けた120万人のうち、感染しない率は94%、感染しても重症化を防いだ率は92%と、今もまだ成功率がすぐれていることを示している。
また、ワクチンは、コロナにすでに感染した人にも接種されているが、感染していない人に比べ、ワクチンに強力に反応していることがわかった。コロナに対する抗体が、ある程度は維持されているということである。。このため、すでに感染した人の場合、ワクチン接種を、一回ですます方向で検討が始まっている。
www.timesofisrael.com/israels-largest-hmo-finds-vaccines-92-effective-in-preventing-serious-illness/
一点、懸念されることは、重症者の40%が、60歳以下だという点。60歳以上の90%がすでにワクチンを受けているのに対し、若年層はまだ半分程度であることや、様々な変異株が原因していると考えられている。
コロナ内閣でまだ激論中:来週からモール・ジム・シナゴーグ、教会での礼拝も解除か
ワクチンの効果が明らかになってきていることから、イスラエルは、接種完了者にグリーンパスを発行し、所持者の行動制限を軽減する方策をすすめている。いいかえれば、接種を拒否する人には接種を強制する流れである。
15日、コロナ内閣は、さらなるロックダウンの解除について、議論を行った。ネタニヤフ首相、エデルステイン保健相は、今も慎重姿勢だが、感染者数が減少に転じていることから、来週からの段階を追った制限解除に向けた論議に応じている。
議論されたのは、まず第一弾、2月23日から、コンビニタイプ路上店、シナゴーグ、教会の礼拝も、グリーンパスがなくても解除とし、グリーンパスを持っている人は、モール、マーケット、ジム、プール、ホテル(ダイニング以外)に行けるとする件。ただし集会は、屋内は10人、屋外は20人までとの制限は維持するとのこと。
また先週はまだ登校が許されなかった5−6年生、11−12年生についても、2月23日より、感染率が低い地域での登校を認める。
しかし、イスラエルでは2月25,26日がプリムの祭りである。大勢が仮装して街に出る。特に超正統派地域では、アルコールで泥酔するのがプリムの習慣になっている。昨年、ニューヨークでは、このプリムで、感染が拡大したのであった。
従って、青白党ガンツ氏は、今の感染縮小傾向を維持するためにも、プリムだけは、厳しい外出制限を出すようにとの意見を出したとのこと。しかし、23日に解除して、また25日から2日間制限というのも難しいのではないだろうか。
結局、最終合意に至らず、議論は翌日に持ち越された。閣議で決まったことは、次に国会で審議され、今週中には結論が出されるものと思う。
www.timesofisrael.com/synagogues-stores-could-be-reopened-for-all-sunday-malls-gyms-for-vaccinated/
ベングリオン空港1日2000人で受け入れ検討へ:18日からテルアビブで国際柔道大会
ネタニヤフ首相は、多種の変異株コロナが国内で検出されていることから、1月25日、ベングリオン空港への旅客機受け入れを停止した。このため、多くのイスラエル人が海外の空港で立ち往生になっている。
今は、少数の特別機が、立ち往生のイスラエル人を迎えに行って、入国させるにとどまっているが、この順番に入れない人が、次々に違う国の空港に回されて、結局UAEで迎えの飛行機を待つという事態にもなっている。外国に住む高齢の家族の臨終にも、葬式にも行けないという悲しい声もある。
ガンツ氏は、この対策は、ネタニヤフ首相の選挙への対策だとして反発。空港の制限の解除はもう待てないとして強く訴えている。
www.ynetnews.com/article/0BF0L1P2I
こうした中、テルアビブでは、今週18日から、国際柔道連盟(IJF)のグランドスラム(国際柔道大会)が予定されている。グランドスラムは柔道界の世界選手権で、今年は2月18日から20日の予定。日本選手も出場し、テレビでは、中継放送される。
このため今週日曜から、63カ国からの約500人の選手と関係者が、イスラエルに入国することになっている。予定では14日夜、トルコの選手150人がイスタンブールから、15.16日に残りの選手がイスタンブールやパリの空港からから到着することになっている。
選手たちは、到着後PCR検査を受けて、ホテル入りし、陰性が確定してから、大会に出場する。
この大会には、2019年、イラン人のサイード・モラエイ選手がモンゴル代表で出場する。モラエイ選手は、2019年のチャンピオンシップで、イラン当局から、イスラエル選手との対戦を辞退させられた。その後、これに反発して海外に亡命。その対戦するはずだった、イスラエル人選手のサギ・ムキ選手にも会い、話題となっていた。
www.timesofisrael.com/exiled-iranian-judo-champion-set-to-land-in-israel-for-tel-aviv-tourney/
これらの選手たちの入国に先立ち、コロナ内閣は1日に2000人までの入国を許可することで検討が進められている。また同時進行で、ホテルの準備も進めるという。ガンツ氏は,外国人の柔道選手を受け入れるのに、立ち往生の市民の飛行機を制限するのは、おかしいと言っているのである。
こうしたことから、コロナ閣議は、今後1日2000人までとの制限をもって、海外からの旅客機を受け入れる方向で検討をすすめている。ただし、入国がイスラエル人だけなのか、外国人も含むのかはまだ明確にはなっていない。
www.ynetnews.com/article/r1M1EAUZ00
石のひとりごと
イスラエルでは、国内に在住する外国人にも無料で、ワクチンの接種を始めている。今日は、イスラエルのプレスオフィスから、希望するなら、記者証を持つ外国人記者には、無料でワクチンの接種をするとの連絡があった。なんとも残念・・・
日本では、ワクチンの接種をうけられるのは、いったいいつになるかもわからない。ワクチン導入の遅れは、健康問題だけでなく、活動範囲の制限解除が遅れるので、日本にとって、大きな損失であると実感した。