バイデン大統領は、世界の中のアメリカのリーダーとしての役割を整備し、駐留させている米軍について、地域との関係の中で再検討すると述べた。特に内戦が続くイエメンへの介入についてのみなおしを表明した。
イエメンでは、アラブの春以降、混乱が続いていたが、特に2015年から、政府軍(スンニ派)と反政府勢力のフーシ派(シーア派)が内戦を続けており、住民たちは、餓死や疫病の犠牲になっている。
中東の勢力図
ピンクがイラン勢力、オレンジがサウジ勢力
(アラビア半島の左下のピンクがイラン傘下のフーシ派)
出展: The Sun www.google.co.il/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fwww.thesun.co.uk%2Fnews%2F2395690%2Fyemen-war-famine-death-toll-saudi-arabia-houthi-rebels-iran%2F&psig=AOvVaw3ikphCa4Bo_ufOHQhn3bVx&ust=1612685802042000&source=images&cd=vfe&ved=0CA0QjhxqFwoTCOjHy4Hp1O4CFQAAAAAdAAAAABAJ%5B/caption%5D
この内戦では、フーシ派がイランの支援を受けていることから、その対立国である隣国サウジアラビアが、政府側を支援しており、実質、イラン対サウジアラビアの傀儡戦争の図式になっている。
アメリカは、イランをけん制するためにも、これまで、サウジアラビア軍への武器供与などで支援を続けている。
これについて、バイデン大統領は、イエメンでの内戦は、非情な人道的悲劇を生み出しているとして、これを終わらせることが重要だと述べた。
そのため、サウジアラビア軍への支援(武器供与を含む)を停止すると語った。一方で、イエメンのフーシ派(イラン背景)からの攻撃を受けるサウジラビアも守らなければならないと述べた他、中東でISなど過激派が、台頭しないようにするとの方針も述べた。
サウジアアラビアはこの表明を歓迎しているとのことだが、実際に米軍がどのような動きになっていくのか、またイランがどう反応するのかは、今後注意して見ていかなければならないだろう。
www.aljazeera.com/news/2021/2/4/biden-to-announce-a-special-envoy-for-yemen
アメリカは特使として、ティモシー・レンダーキング氏をイエメンに派遣するとのこと。
<世界最大の人道問題:イエメン>
イエメン内戦は、イラン、サウジ、様々な中東諸国とアメリカなども巻き込んで文字どおり糸が絡みすぎてもはや、ほどくことは不可能なほどになっている。説明するだけでも困難である。
イエメンの人々は、人口3000人のうち、今年1600万人が餓死の危機にあると国連は警鐘を鳴らしている。餓死だけでなく、コレラなどの疫病も蔓延しており、コロナどころではない。文字どおり、世界最大の人道問題である。
*中東全体を巻き込むイエメン情勢の説明(英語)