トランプ支持派が米議会乱入でバイデン新政権確定か:今後の懸念は? 2021.1.7

CBSN news スクリーンショット

5日行われたジョージア州の上院議員選挙は、2議席を民主党が確保したことから、いよいよ民主党のバイデン候補が時期大統領となり、上院、下院とも民主党が過半数という、好条件で新政権発足に向かう流れとなった。

www.timesofisrael.com/democrats-gain-senate-control-after-ossoff-and-warnock-both-win-in-georgia/

ところが、その翌日、首都ワシントンで、バイデン候補が選挙で勝利したと認めるとみられる、上・下院合同本会議がはじまろうとしたところ、トランプ大統領支持派の群衆数千人が、ワシントンのアメリカ議会へなだれこみ、暴力で議員たちを追い出し、議会を約4時間にわたって占拠した。

アメリカの首都は、一時封鎖され、武装警官隊1100人が出動する事態となった。この間の衝突で、女性一人が死亡している。その後、詳細は不明だが、計4人が死亡したとのニュースも出ている。

議会にいた暴徒は、排除され、すでに審議が再開されているが、警察官は、5000人に増やされて、首都ワシントンの治安維持に努めているもようである。

www.timesofisrael.com/guns-drawn-lawmakers-under-desks-as-pro-trump-mob-roams-and-loots-congress/

騒ぎの中、バイデン候補は、「これは民主主義に対する前例のない攻撃だ。」と非難。トランプ大統領に、「国営放送を通じて、議会の占拠をやめさせるように言うべきだ。」と呼び掛けた。するとその直後、トランプ大統領が、敗北は認めないとしながらも、「皆は家に帰るべきだ。」と、群衆に呼びかけた。

ホワイトハウス前では、継続してトランプ支持者らが、ラリーを行っており、トランプ大統領が、議会方面へマーチするように呼び掛けたとの報道もある。その後、ツイッターは、トランプ大統領の投稿を一時停止している。

騒ぎが始まってから約4時間後、ペンス副大統領が、上下院議会を再開。「暴力が勝利することはない。仕事に戻ろう」と呼び掛けた。

憲法によれば、この議会における最終投票で、だれが次期大統領になるかを今の副大統領は、読み上げることになっている。トランプ大統領は、「副大統領は、選挙を不正にすすめた人物を取り下げるべきだ。」として、圧力をかけた。また、「私の言うことを聞かないなら、前のように彼を愛せなくなる。」などとも言っていた。

jp.reuters.com/article/usa-election-pence-idJPKBN29A2M5

しかし、ペンス副大統領は、「片方の権威だけに従い、バイデン候補を大統領にとの票を無視することはできない。」として、結果はそのまま読み上げるだけという、本来の副大統領の役割に徹する意思を表明した。

結果は、ジョージア州の結果からみて、民主党バイデン大統領になる見通しになったということである。

民主国家でありながら、その選挙結果を認めず、まるで暴徒のように国会に入り、副大統領の席に座り込むジーンズ姿の男などが、世界中に封じられ、各国首脳から、次々にこれを非難する声明が出されている。CNNなどは、「アメリカの恥さらしだ。」と非常に険しい報道を続けている。一方で、トランプ大統領の圧力に屈しなかったペンス副大統領への評価は高く報じられている。

<石のひとりごと:イスラエルメディアより>

Times of Israelのコメンテイター、デービッド・ホロビッツ氏は、イスラエルを支持し続けたアメリカのこの様子を、大きな痛みを持ってみていると書いている。また、今、中東で、これまでアメリカを憎んできた国々は、この様子を歓迎しているだろうと書いている。

このような光景は、民主主義を代表し、世界最強の力をもって、世界の安定を守る立場にあるアメリカで、決してあってはならない出来事であった。考えれば考えるほどショックな光景である。

これからアメリカはどうなっていくのだろうか。今世界中から、非難されているトランプ大統領から、絶大な好意を得てきたイスラエルにも今後、冷たい風が吹き始めることも考えねばならないだろう。

ホロビッツ氏は、バイデン氏が、「前例のない民主主義への攻撃だ」といったことを取り上げ、バイデン氏が大統領に就任した後に、トランプ関連の勢力(もしかしたらイスラエル含め)にどういう政策を取ってくるかが心配だと締めくくっている。

www.timesofisrael.com/watching-from-israel-we-worry-for-our-vital-beloved-ally-punctured-from-within/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。