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アメリカとイスラエルは、UAEに続いて、湾岸諸国が次々とイスラエルとの国交正常化をすすめるのではないかと予想していたが、今の所、UAEに続く湾岸諸国は出ていない。
しかし、セルビアとコソボ、マラウィがそれぞれ、イスラエルとの国交をアップグレードする意向を明らかにした。すでに国交があるセルビア共和国は、エルサレムに大使館を移動させる考えを表明。コソボは、イスラム教徒が、大半の国としては初めて、イスラエルとの国交を樹立すると言っている。
イスラエルにとってはよろこばしいことではあるが、どうも両手をあげての祝い事でもなさそうである。
今も宿敵:セルビア共和国とコソボ共和国
バルカン半島のユーゴスラビア、セルビア、コソボといった国々は、アルバニア人とセルビア人が対立し、血みどろの歴史を歩んできた。最終的には、2008年に、コソボがセルビア共和国から独立宣言したが、セルビア共和国は今もそれを認めていない。
現在、コソボを独立国として認めるのは、欧米など100カ国。認めていないのは、セルビアとロシア、中国である。
そのセルビア共和国とコソボは、EU加盟を目指し、7月にEUを仲介として、国交正常化に向けた交渉を再開していた。
しかし、コソボには、セルビア正教のエルサレムとも呼ばれる聖地がある。それを手放す形で、セルビアがコソボの独立を認め、国交を正常化させることが果たしてできるのかどうか、きわめて不透明と言われていた。
そのような中、アメリカのトランプ大統領が仲介に入り、9月4日、ホワイトハウスにて、セルビアのアレクサンデル・ビチッチ大統領と、コソボのアブドラ・ホテ首相が、経済における関係正常化にむけた書類に署名するに至ったわけである。
この時、まったく予期されたことではなかったのだが、セルビア共和国が、在イスラエル大使館をエルサレムに移動させる方針を表明。コソボは、イスラエルとの国交を樹立すると発表した。
www.nikkei.com/article/DGXMZO63492060V00C20A9000000/
もしセルビア共和国が、大使館をエルサレムに移動させることができれば、ヨーロッパで最初に、エルサレムをイスラエルを首都と認める国が現れたということになる。
また、イスラエルとコソボが国交を樹立するということは、イスラエルがコソボの独立を承認するということでもある。
コソボは国民のほとんど全員がイスラム教徒というイスラムの国である。そうした国がイスラエルを認め、イスラエルもまたその国を認めるということ、さらには、エルサレムに大使館を置いて、互いに大使を置くことになれば、これはまた新たな史上初ということになる。(UAE、エジプト、ヨルダンも国民のほとんどがイスラム教徒というわけではない)
しかし、コソボは、ホロコースト時代にユダヤ人を助けたという歴史もあり、イスラエルとの関係は深いとコソボ政府は、公に語っている。
www.timesofisrael.com/kosovo-speaker-of-parliament-sends-warm-message-to-israel/
セルビアは、このニュースが出されるやいなや、「イスラエルが、コソボの独立を認めたということを認めたわけではない。もしイスラエルがコソボの独立を認めるなら、セルビアは、エルサレムに大使館を置くことはない。」と厳しい態度をとっているとのニュースが出始めている。
www.timesofisrael.com/serbia-wont-open-jerusalem-embassy-if-israel-recognizes-kosovo-serbian-source/
それにしても、アメリカ大統領選挙を前に、トランプ大統領がラッシュで、勲章作りに励んでいるようである。
マラウィ:福音派・チャクウェラ大統領がエルサレムに外交オフィス計画を発表
セルビアとコソボが、イスラエルとの国交を深める動きを見せた翌日の5日、南アフリカのマラウィのシャクウェラ大統領(65)が、ナイジェリアと、イスラエルとの国交を強化するとして、イスラエルでは、エルサレムに外交オフィスを設立すると発表した。