UAEは、29日、正式に、イスラエルを経済的にボイコットするこれまでの原則を完全に撤回すると発表した。これにより、UAEとイスラエルの企業は、今後、自由に取引ができるようになる。これによるイスラエルの増収は、1年に40億ドル(4000億円)、さらに3倍4倍になっていくとみられている。
貿易だけでなく、研究、医療、旅行業など、市民同士の交流など、まさにフルで、国交が始まっていく。両国はこれに続いて、軍事にまで国交をすすめていくという。これは非常に画期的、未来的な動きである。
www.nytimes.com/reuters/2020/08/29/world/middleeast/29reuters-emirates-israel-economy.html
湾岸アラブ同盟は、イスラエルが、1967年以前のラインまで、西岸地区、ガザ地区、ゴラン高原から撤退し、東エルサレムを首都とするパレスチナ人の国を認めることを条件に、イスラエルの存在を認めると言っていた。これをアラブ・イニシエチブという。
しかし、イスラエルがこれを認めるのは難しく、一方で、パレスチナ人は、最終的にイスラエルがすべて撤退していくこと以外、いかなる和平案も受け入れてこなかった。このため、中東和平問題は、今に至るまで、実に100年近くも解決が得られなかったのである。
こうした中、イスラエルがいかなる地域からも撤退しないにもかかわらず、イスラエルとの国交を正常化するというUAEの動きは、アラブ・イニチエチブに大きな風穴をあけることを意味する。
ネタニヤフ首相は、「パレスチナ人を待っていたらいつまでも解決はなかった。パレスチナ人の拒否の時代は終わった。」と述べ、今後、UAEに続くアラブ諸国が出てくるとの期待を語っている。
<パレスチナ人の苦悩>
パレスチナ人にとって、今回の動きは、まさに蚊帳の外に置かれたようなもので、大きな嘆きとなっている。しかし、イスラエル人の中には、パレスチナ人に新たな視点で、今の時をチャンスと見据えてはどうかと提案する声もある。
たとえば、今、ネタニヤフ首相はトランプ大統領に頭があがらない状態にある。一方でトランプ大統領は、パレスチナ問題解決には就任初期から強い意欲と自信を語っていた。
今この大きな変化の時に、パレスチナ人もまた受け入れ可能な案をトランプ大統領、また、アラブ同盟諸国に提示すれば、国家建設への道も開かれるのではないかと提案している。
しかし、結局のところ、今回のことを通して、パレスチナ自治政府が、本当に望んでいるのが国家建設なのか、イスラエルの破滅なのか、その本質がはっきりするということかもしれない。
blogs.timesofisrael.com/palestinian-leaders-wake-up-and-smell-the-statehood/