目次
新型コロナ感染者は世界で、85万9338人。死者は、4万2334人と、まだまだ増加の一途をたどっている。各国とも、人工呼吸器の不足が深刻になっており、その獲得に奔走している。
イスラエルは、早くから人工呼吸器の獲得を開始していたため、現時点で、3100台、人口10万人に対し、40台保有している。しかし、それでも足りないとして、通常はミサイルを製造する工場のラインを、人工呼吸器の製造ラインにして、国内量産を開始した。
24時間で感染者5358人(663人増)、死者20人(5人増)
イスラエルは、過去24時間で、感染者が663人増加とこれまでの最高を記録した。死者も5人増えて20人。基礎疾患のある高齢者がハイリスクであることは間違いないが、昨日亡くなったのは、40歳台、50歳台と、比較的若い世代も例外ではないことが明らかになってきている。
保健省は、新型コロナを発症してから重症化するまでの日数を12日とみており、4月9日までに重傷者は500人、4月14日までに1000人と推測している。重症化とはすなわち、人工呼吸器が必要になるレベルである。
www.jpost.com/Breaking-News/17th-death-from-coronavirus-in-Israel-58-year-old-623013
保健省によると、現在イスラエルが保有する人工呼吸器は、3100台が、全国の病院にあり、さらに予備が450台ある。これは、人口10万人に対し、40台あるという計算。保健省はさらに1000台を注文しているとのこと。
www.jpost.com/Israel-News/Health-Ministry-to-order-1000-ventilators-boost-ICU-capabilities-621180
ミサイル工場を急遽、人工呼吸器工場へ
圧倒的に不足が予想されるため、防衛省が、イスラエル国立航空宇宙研究所(IAI)と、医療機器のInovytecを結んで、人工呼吸器の製造を開始した。IAIのミサイル工場で、今、人工呼吸器が作られているということである。
すでにここで製造された人工呼吸器30台が、医療機関に配送されたという。ベネット防衛省は、今後イスラエルは、新型コロナに対する対策はできるだけ自給にする必要があると訴えている。
www.ynetnews.com/article/B1zhsZ11DU
世界で急増する新型コロナ犠牲者:人工呼吸器獲得に奔走する世界
イスラエルは、人口10万人に対し、人工呼吸器が40台は少ないとして、増産をいそいでいるが、これは世界的に見ても決して少ない方ではない。
エルサレムポストによると、イギリスは、人口10万人に対し、7−8台。その数は、今も死者1万人以上と悲惨な状況が続くイタリアの半分だという。そのイタリアでは、呼吸器不足から、65歳以上の患者に人工呼吸器は適応しない(つまりは苦しみの中で死亡を待つしかない)事態になっている。
こうした中、イタリアでは、スキューバダイビングのマスクを3Dプリンターで改良し、肺に空気を送り込む急場凌ぎの呼吸器を使用し始めている。
現在、アメリカで爆発的感染が進行中だが、トランプ大統領は、死者が10−24万人にも達するとの予測から、今後2週間は非常に苦しい時になると発表した。そのアメリカの人工呼吸器は、全国で16万台で、予備は1万台。これは10万人に52台の計算である。しかし、爆発的感染下にあるニューヨークのクオモ州知事は、まだ1万台は足りないと悲壮な声で助けを求めている。
緊急祈り:人工呼吸器が全然足りない日本
ところが、もっと悲惨なのが日本である。
現時点で、人口1億2000万人の日本全国にある人工呼吸器は、わずか、1万3437台。このうち、39%は、小児用なので、成人用人工呼吸器は1万台を割る可能性がある。
*日本呼吸療法医学会と日本臨床工学技士会が、全国にある病床20床以上の1558カ所の病院を対象として今年2月に行った緊急調査)
これは、人口10万人に約11台(子供用をはずすとその半分)を意味する。感染が広がっている東京(約1400万人)に人工呼吸器は、わずか1892台。人口10万人に対し、13台ということになる。さらに、東京都では、ICUがわずかの500床しかなく、すでに満床に近いとのこと。
これは、大惨事になる可能性があるということである。安倍政権も、人工呼吸器量産に乗り出しており、旭化成が、現在の25倍にあたる、月1万台の増産に着手したとのこと。
jp.reuters.com/article/column-tamaki-idJPKBN21I11H
しかし、人工呼吸器を扱うには、それなりの知識と訓練がいる。人工呼吸器量産だけでなく、ICUベッドを増やすとともに、看護師たちの訓練も急ぐ必要がある。
総じて、当たり前ではあるが、東京で、新型コロナの爆発感染は絶対におこってはならないということである。このままなんとかコロナをやり過ごすことができるよう、緊急に祈りとりなしが必要である。
石のひとりごと
Deep Knowledge Goupという組織の検証によると、今の新型コロナ危機において、最も安全な国はイスラエルという結果が出た。政府が、かなり先回りをして対策を講じているからである。
互いに意見の相違で、通常は争っているが、コロナ対策においては、首相をリーダーに、保健省、防衛省、経財相が協力して対策を講じ、さっさと実施に入っている。正式な政府もないのに、驚くべきことである。
イスラエル人は、通常、自分の意見を言うことにいとまがない。しかし、いざ、緊急事態となると、少なくとも表面上は、多少の不満は目をつむり、今は、政府の言うことに従って一致するべきと考えている。少なくとも自分が選らんだ政府という意識もある。
実際、政府もその信頼通り、国とその国民を守るということについては超真剣で、市民が考えるより先に動いている。そのためか、緊急時に際して、それに文句をつける人はほとんどない。警察や治安部隊には、エールも送る。これが、戦争という緊急事態に何度も遭遇してきた国の人々の姿であろう。
一方、日本は、縦割り社会であるとともに、「他人に迷惑をかけない」という文化がある。このためか、緊急事態になっても、自分の領域だけをこなす空気がある。
首相のリーダーシップのもとに、各省が協力して、一つの目標のことのために思い切って働くことも難しい。何をするにしても、何を決めるにしても時間がかかり、何をしても後手になることが多い。
また、これほどの緊急事態にあっても、野党は、首相に協力するより、足を引っ張ることにいとまがない。このため、国民からの不信は、日々テレビの中に溢れかえっていて、いったい何が危機なのかもわからなくなってくる。
これは海外からも指摘されている事だが、我々日本人は、異常といってもよいほどに危機感がない。海外の危機的なニュースは毎日流れているのに、どうしても自分ごとにならないのである。
日本に今迫っている危機は、中国、韓国、イタリアやスペイン、アメリカの悲惨な姿を十分見たあとの今、ようやくせまってこようとしている。準備する時間はあったと思うが、どうだろうか・・
今年正月に新聞2面を使って大きく広告が出ていたのを思い出す。
「ヤなことは見えない。メンドーなことは話さない。ツゴウの悪いことは聞こえない。」長寿先進国、おめでとう。宝島社
主がこの国をあわれんでくださり、コロナ危機が、このまま通り過ぎていってくれることを祈るばかりである。