5月中のイスラエル総まとめ:相変わらず元気印のエルサレム 2022.6.1

イスラエル現地に来て以来、なかなかニュースを出すことができず、日々が忙しく過ぎていった。読者の皆さまにはお詫びしたい。

そういうものだろうか。現地にいる人は日々の生活の中にいるので、大きな視野で見るヒマがない、というか、その気になりにくいというか。。。日本人も同じで、日本国内にいる間は、日々の生活が中心になるので、意外に大きな視野で、何が起こっているのかには、気をとめにくいのかもしれない。だから、エルサレムの平和のために祈るのは、主には、外にいる人々の役割なのだろう。

そういうわけで、筆者もイスラエル国内で、日々の動きにあちこちするのが精一杯であった。しかし、この2週間ほどの間にもいろいろなことがあった。一つづつまとめながら、キャッチアップさせていただきたい。

5月中の主な動き

1)進むコロナからの卒業:新たなパンデミック懸念も不要と発表

イスラエルでは、もうコロナを気にしている人はほとんど・・いや全くいないと言っても過言ではないだろう。重症者は今も減少と続けている。しかし今も時々、感染者は発生していて、オフィスが休みになったりはしている。

空港では、到着時PCRの義務も解除され、空港はもうコロナ前と変わらない混雑ぶりである。空港からの公共交通機関も稼働している。一時チキン痘が問題となったが、危険性はないと判断された。

2)エルサレム統一記念日:今年はダマスカス門から

エルサレムでは、28日日没から29日、1967年の六日戦争で東西統一が果たされてから55回目のエルサレム統一記念日であった。この日は特に右派のユースグループが、群衆となってイスラエルの旗を振りながら、嘆きの壁(本来は神殿の丘)までマーチをすることになっている。

右派ので、エルサレムの主権はイスラエルにあると主張し、旧市街のイスラム地区を通るのが慣例である。しかし、これが物議になることはいうまでもなく、昨年は、ガザとの戦闘にまで発展したのであった。

mtolive.net/エルサレム統一記念日:神殿の丘周辺での衝突-2021-5-11/

さらには、これに先立つ22日、イラン革命軍司令官が暗殺されたが、イランはシオニストによるものだとイスラエルを非難。反撃も懸念されていた。

しかし今年は、コロナの影響もなく、さらなる大群衆になるとみられた。ハマスは、ミサイルを撃ち込むとの脅迫する声明も出し、日本を含む各国大使館は、市民にマーチには近づかないようにとの指令を出していた。

28日は夕刻から、イスラエルの旗を掲げた若者たちが、旧市街のダマスカス門からイスラム地区を行進。

29日は、右派ユダヤ教徒2600人という記録的な人数が、政府の方針で、神殿の丘へ入ることが許された。極右議員イタマル・ベン・グブール氏も神殿の丘を訪問した。
www.timesofisrael.com/in-record-more-than-2600-jews-visit-temple-mount-on-jerusalem-day/

その後、右派男性たち7万人が、ダマスカス門から入って「アラブは死ね」と言った過激な声を上げながら、イスラム地区を行進。アラブ人と暴力的な衝突となった。これにより、パレスチナ人40人が負傷。少なくとも60人が、イスラエルの警察に逮捕された。

このため、警察は、この後に続くマーチ参加者を旧市街に近づかないようにした。主に右派ユース女性たちや、小さな子供たちを連れた若いカップルなどが、群衆となって、エルサレム市役所周辺に足止めとなったが、それぞれ歌ったり、祈ったりと、笑顔いっぱいであった。

ニュースでは、右派による危険な行為という側面がクローズアップされているが、普通にエルサレムにいることを喜んでいる人々も群衆となって参加していたということである。

奇しくもこの日の午前中、ヤド・ヴァシェムをガイドした直後であった。そのせいか、この元気で笑顔いっぱいのユダヤ人の老若男女の群衆に囲まれたとき、ただた黙って、アウシュビッツに連れて行かれるユダヤ人の群衆を思い出し、泣けて泣けてしょうがなかった。

けっして右派を支持するわけではないが、あの頃のユダヤ人たちを思えば、単純に、ユダヤ人たちが、エルサレムを祝う今のユダヤ人の群衆に感動せざるをえなかったのである。「あなたがたを墓から引き上げてイスラエルへ連れて行く(エゼキエル37章)」と、本当にイスラエルの神が言った通りで、主のユダヤ人への思いを感じざるを得なかった。

幸い、このままガザからのミサイルもなく、夜には、旧市街外での大々的な野外コンサートも無事に行われたが、大きな戦争にはならずにすんだのであった。

2)連立政権崩壊の危機回避:サバイバル続くベネット政権

立ち上がってからもうすぐ1年になるベネット政権。神殿の丘問題で、アラブ政党ラアムが、連立離脱の危機にあったが、ラアム党アッバス党首は、今一度ベネット首相にチャンスを与えるとして、連立に戻ることを決めた。

続いて左派政党メレツのリナウィ・ゾアビ氏が、連立離脱するとのニュースが流れた。しかし、こちらも交渉の結果、連立に戻ることを決めた。

www.timesofisrael.com/meretz-mk-rinawie-zoabi-quits-coalition-putting-it-in-minority/

さらに続いて、ベネット首相に2013年から10年近く側近中の側近、顧問として共に歩んできた、タル・ベン・ツビ氏が、辞任を表明した。長い付き合いであったためか、首相もベン・ツビ氏も、それぞれが敬意を表しながらの辞任表明とそれに対する首相のコメントでであった。しかし、なぜ離脱するのか、その理由は不明である。

これに先立つ2週間ほど前には、同じくベネット首相側近だったシュミリット・メイール氏が、辞任を表明したところで、ベネット首相の連立政権は相変わらず、危機続き、ぎりぎり立っている感じである。

石のひとりごと:エルサレムは本当はすでに楽園?木々と花と鳥のさえずりと子供の声と

ゲッセマネの園

相変わらずの危機的なニュースのエルサレムだが、現実の町の雰囲気はだいぶ違うイメージである。日本よりもはるかに木々が多く、鳥のさえずりとともに、あちこちに美しい花が咲いている。市が花壇を管理しているのである。

ダビデの町の遺跡に行くと、イスラエル人の小学生がたくさん来ていた。先生は叫びまくって引率している。子供たちは元気いっぱいで、声は出すわ、あちこちするわ。とにかく表情も声も元気一杯である。

実はエルサレムはすでに神の楽園の準備ができており、罪ある人間がそれを壊しているだけなのではないかと思ったりした。

石堂ゆみ

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。