イスラエルでは、今、10月7日のハマス侵攻を許してしまったことの原因とその責任の検証が行われている。
イスラエル軍では、当時の司令官たちが、ハマスの実力を誤認していたことに加え、ハイテク防衛機器に依存していた部分もあり、警告があったのに、ハマス侵攻にすぐに対処していなかったという、大失策を認め、当時の参謀総長ら複数の司令官たちが、辞任している。イスラエル軍もこれらの失策を正式に認めている。
しかし、ネタニヤフ首相や政府高官たちは、責任を認めないため、政府と軍が対立していることが報じられている。軍のザミール参謀総長と、カッツ国防相の対立に、ネタニヤフ首相が間に入るほどの対立である。

IDF Chief of Staff Lt. Gen. Eyal Zamir salutes over the grave of David Ben-Gurion at Midreshet Ben-Gurion next to Sde Boker in southern Israel, November 26, 2025. (Israel Defense Forces)
しかし、ザミール参謀総長は、11月26日(水)に行われた、ベン・グリオン初代首相死後52周年記念式典において、「イスラエルには、責任から逃げない、勇気あるリーダーシップが必要だ」と表明した。
また、指揮官の責任は再建することにあると語り、今後の歩みへの覚悟も語っていた。
レバノンでのヒズボラNO2のタバタバイの暗殺は、イスラエル軍が、ハマス対策の失策から学んだことを反映していると言われている。
それは、危険因子を、絶対にそのままにしておいてはならないということである。国境付近にヒズボラが活動しているなら、世界に何を言われようが、これを殲滅する。ガザも同様である。これがハマス侵攻から学んだこととみられている。
www.timesofisrael.com/idf-on-alert-as-hezbollah-weighs-response-to-military-chiefs-killing/
*なぜイスラエルはタバタバイの暗殺をしたのか
2023年10月7日のハマスによるイスラエル襲撃以降、ヒズボラは、ハマスを支援するとして、イスラエル北部からの攻撃を開始した。イスラエル国境からは6万人が避難を余儀なくされた。
これに対し、イスラエルは、レバノン南部地域に入って、ヒズボラ拠点を攻撃、破壊し、ついには、ナスララ党首を殺害した。しかし、戦闘はやまず、レバノン南部住民もまた避難を余儀なくされ、レバノン政府も巻き込まれることになった。
約1年後の2024年11月、イスラエルは、レバノン政府と停戦合意に至り、レバノン政府が、ヒズボラを、リタニ川以北まで撤退させ、レバノン南部地域に残留するヒズボラとそのインフラを一掃することになった。
しかし、ヒズボラは、レバノン軍よりはるかに強力である。レバノン南部から撤退するどころか、武器の蓄積や南部への駐留を再開し始めた。このため、イスラエル軍が、自ら攻撃してきたが、特に、ここしばらく、激しい攻撃を行っていた。タバタバイは、南部でのヒズボラ再建の責任者だった。
