10月7日から1年:まだ終わっていない苦難 2024.10.7

A man cries as he holds a photo of slain hostage Carmel Gat, taken by Hamas terrorists on October 7 and killed in Gaza 11 months later, during a protest on the terror onslaught's anniversary calling for the hostages' release, in front of Prime Minister Benjamin Netanyahu's residence in Jerusalem, October 7, 2024. (Menahem Kahana / AFP)

10月7日の虐殺から1年

イスラエルでは本日、今の苦難の始まりとなった10月7日から1年目を覚える日となっている。

しかし、この患難はまだ終わっていない。ハマスに拉致されたままの人が、1歳児含め101人もいる。ハマスに殺害された人とその家族、イスラエル軍の誤射で死亡した人質とその家族。またその後の戦闘で戦死した若者たち、その家族たち。

その人々の心の痛みの前にあるのが、ハマスとの戦闘に加え、北部ではヒズボラとの戦闘であり、サイレンが鳴り響く日々である。イランが弾道ミサイルを発射するかもしれない中で、イスラエル人たちは、この日を迎えている。

なお、最新にニュースだが、7日午後、各地で、記念イベントが始まろうとする中、ヒズボラがテルアビブ方面へ、ロケット弾をを発射している。

ヘルツォグ大統領は、5日、ガザ国境周辺の被災地への慰問巡回を行った。スタートは、最も被害が大きかったノバ音楽フェスティバル現地だった。そこで、悲しみを共有する数千人の市民たちとともに、「これは地球の顔への傷だ」と述べた。

1年目を覚える式典は参加2000人に制限へ

ヒズボラとの戦闘が続く中、政府は、集会を2000人までとの指示を出している。

5日(土)夜には、テルアビブ他各地では、普段よりかなり規模が小さい、2000人規模でのデモが行われていた。

Jerusalem’s Aza Road, October 7, 2024. (Noam Amir/Hostages Families Forum)

本日7日には、イスラエル各地でも2000人規模の式典が予定されている。エルサレムでは、首相官邸に面するアザ通りでのイベントが始まっている。

テルアビブで開催される10月7日の記念式典のチケット(7日午後7時(日本時間8日午前1時)から)は、4万枚が約8時間で完売していたが、側近の家族含む小規模で開催され、生放送されることになった。

なお、イギリスやフランスなど世界各国では、時差の関係で、6日に、10月7日を覚える式典が行われ、拉致被害者家族が証言を行っていた。

www.timesofisrael.com/october-7-anniversary-marked-worldwide-with-memorials-pro-and-anti-israel-protests/

1年にわたる戦闘のデータをイスラエル軍が発表

1)ハマスの攻撃と戦闘の結果

イスラエル軍は、1年目の数値とともに、10月7日の新たなビデオ映像も発表した。

www.idf.il/en/mini-sites/remembering-the-october-7-massacre/?utm_source=Instagram+&utm_medium=Instagram+

10月7日のハマスの侵攻による犠牲者は1200人。拉致された人は251人。ハマスがイスラエルに向けて発射したロケット弾やドローンは1万3200発。

ハマスによるロケット弾で、イスラエルのガザ国境周辺3万6000エーカー(東京ドーム3060個分)が消失した。国境周辺で被害を受けたキブツなどはおおむね無人状態のままである。

www.ynetnews.com/environment/article/sysupqekke#autoplay

イスラエル軍は、まずイスラエル南部にいたハマスと戦い、その後、ガザへと侵攻していった。ガザの4万300箇所を攻撃。4700本のトンネルを発見、破壊した。

イスラエル軍は、ハマスの武器も多数押収した。対戦車ミサイルとRPG1250発、爆発装置4500発とそれらを含む装置類7万点。ロケット弾やドローンなどである。これらは今週、海外外交官やジャーナリストに見てもらうため、展示される。

www.timesofisrael.com/ahead-of-anniversary-idf-displays-weapons-vehicles-used-by-hamas-in-oct-7-attack/

イスラエルの治安部隊が殺害したハマス戦闘員は、当日にイスラエル南部領内で1000人。その後の戦闘で1万7000人が死亡。その中には、旅団長クラスの司令官が8人。大隊長以上が30人、中隊長クラスが165人となっている。逮捕したパレスチナ人は5250人。このうちハマス戦闘員は2050人。

民間人を含むガザの死者数(ハマスの主張)は、4万1000人(民間人と戦闘員に区別なし・数値の正確さは不明)

上空からの写真によると、建物の60%、農地70%に被害の跡がみられている。200万人近くが今もガザ内部で非難中。

vdata.nikkei.com/newsgraphics/gaza-satellite-imagery/

一方、ハマスとの戦闘で戦死したイスラエルの治安部隊は728人(ガザ地上戦以後346人)。友軍の誤射で死亡した兵士は56人。負傷した兵士は4576人(ガザ地上戦以後2299人)

2)ヒズボラ他の攻撃と戦闘の結果

レバノン(ヒズボラ)から発射されたロケット弾やドローンは1万2400。イエメン(フーシ派)からは180、シリアから60発。そしてイランから400発。

これらによるゴラン高原などでの山火事で4万8000エーカー(東京ドーム4080個分)が消失した。北部国境周辺の家屋が被害を受けており、6万人以上がまだ帰れないでいる。

空爆したヒズボラの拠点は1万1000か所。レバノンに侵攻して殺害したヒズボラ戦闘員は800人。このうち司令官級は90人。

www.timesofisrael.com/a-year-of-war-idf-data-shows-726-troops-killed-over-26000-rockets-fired-at-israel/

レバノンからの報告によると、これまでのレバノンでの死者数は2000人(戦闘員含む?)を超えている。イスラエルが、攻撃前に避難警告を出した町は100を超えており、100万人以上が国内避難民となっている。シリアなど国外へ出たレバノン人も数万人いる。

www.cbsnews.com/news/israel-attack-iran-backed-hezbollah-intel-lebanon-death-toll-over-2000/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。