ネタニヤフ首相は23日、予算案決議の期限が翌24日にせまったことを受けて、これをむこう100日間、延期するという国会のハウザー議員の意見を受け入れるとの考えを明らかにした。もし延期しなかった場合、結果として、政府が解散となり、4回目総選挙ということになるため、これを抑制した形である。
今年度予算については、ネタニヤフ首相とガンツ氏は、4月に統一政権を樹立するにあたり、2020年、2021年の2年間の予算案を作成することで合意していた。
しかし、コロナ危機の悪化を受けて、ネタニヤフ首相が、とりえあえず今年度のみの予算とし、来年度は、状況に応じて、別の予算案にしようとする1年予算案を出したことで、現在のような暗礁に乗り上げたかたちになった。
予算を1年ごとにするという変更を訴えるネタニヤフ首相に対し、合意したときのまま、2年続く予算にすべきであるというのが、ガンツ氏の主張である。この対立のために、今月10日に続いて24日も閣議がキャンセルとなり、もはや4回目の総選挙になるだろうとの見方が強まっていた。
*4回目総選挙への足音:予算案で合意できず閣議キャンセル:8月10日
mtolive.net/4回目選挙への足音か:予算で合意できず閣議キ/
こうした中、24日、ネタニヤフ首相は、記者会見を開き、「今は分裂している時ではない。」として、ハウザー議員の予算案決議期限、100日間の延長を受け入れたと発表した。今夜、国会がこれを審議し、もし賛成にならなかった場合は、4回目総選挙になるしかなくなる。
しかし、その後の記事によると、この件に関する国会委員会はこれに賛成したとのことであった。続く国会での審議でもおそらくは、これを受け入れ、期限の延長になるみこみである。
ネタニヤフ首相が言うように、「今は分裂している時ではない・・」確かにそうなのだが、対立は予算だけではない。ネタニヤフ首相が、UAEとの国交樹立において、ガンツ氏を蚊帳の外に置いたことで、もはや信頼関係はなりたたなくなっている。
また、統一政権で合意していた予算案にネタニヤフ首相が変更案を出してくるということは、来年11月に、首相の座をガンツ氏に移譲するという合意も、変更しようと言い出すのではないかとの疑いにもつながってくる。
世論調査でいくと、ネタニヤフ首相退陣を求めるデモがある一方で、支持率は上がる傾向にある。ネタニヤフ首相としては、再選挙を行い、自らのリーダーシップを固めるほうがよいはずと分析する記事もある。
となると、総選挙回避へのネタニヤフ首相の意思発言も、ただのパフォーマンスではないかと疑う国民も少なくない。
この予算案期限100日延期発表が、ポンペオ国務長官ら違法の前日と、非常に綱渡り的な感じもする。実に海千山千のネタニヤフ首相。本当に強靭としか言いようがないが、そこまでの信念はいったいどこから来るのかと、思わされるところである。
www.timesofisrael.com/netanyahu-says-he-accepts-compromise-deal-to-delay-new-elections/