21日、イスラエルで最初の死者が出た。エルサレムの病院に入院していた男性(88)で、複数の既往がある人だった。この男性は、ノフェイというエルサレムの高齢者ホームの住人だった。このホームからは、感染者が数人出ていて、女性(89)が重症となっている。
www.timesofisrael.com/man-88-dies-in-jerusalem-hospital-israels-first-coronavirus-death/
イスラエルの感染者は20日朝の時点で、前日から28人増えて、705人。このうち重症者は10人。東エルサレムのバス運転手(38)が危篤となっている。
705人のうち、入院しているのは、271人で、ホテルに設置された施設で隔離されている軽症者は58人。212人が自宅待機となっている。これまでに回復して退院した人は15人。
www.ynetnews.com/article/PGVMQECUT
今日の増え方は、その前日よりかなり減っているが、油断はできない。20日、ネタニヤフ首相は、「外出規制を守っている人もいるが、まだ守らない人もいる。」として、必要不可欠な外出以外の外出を法的に認めないとする厳しい外出禁止令を発表した。また職場で出勤できる人数は、公務でも企業でも、30%までとした。
これにより、人々は食料買い出しや受診など、必要不可欠な場合、政府が特別に認めた職種以外で、外出した場合、警察に連行されることになる。
経済に大きな影響をもたらすこの措置をとる理由として、保健省のバル・シモン・トーブ長官は、次の3点をあげた。①ウイルスの拡大を防ぐ、②感染者の数を防ぐ、 ③急激な感染の山をできるだけ平らにする。
保健省は、あらたに人工呼吸器2500台を計5000万シェケル(約16億円)で購入した。しかし実際の入荷は5月中旬になるとのこと。感染の拡大と長期化を予想しているということである。
<エルサレム旧市街で衝突:神殿の丘入場をイスラエルが制限したため>
20日は金曜で、イスラム教徒が神殿の丘(ハラム・アッシャリフ)にくる日である。ヨルダンのワクフは、すでに、黄金のドームと、アルアクサモスクを閉鎖したが、その周囲の屋外部分で祈ることは可能としている。
しかし、イスラエル軍は20日、コロナ感染拡大を防ぐため、神殿の丘に行こうとするイスラム教徒たちを、旧市街の外で入場制限を実施した。するとこれにパレスチナ人が反発し、警察と衝突。少なくとも1人が逮捕された。負傷者はなし。
なおこの日、神殿の丘で祈ったイスラム教徒は、通常3万人のところ、数百人であった。
www.timesofisrael.com/clashes-in-east-jerusalem-as-police-limit-old-city-access-amid-pandemic/
<イスラエル軍がMDA(救急隊)と協力体制>
イスラエルでは、新型コロナとの戦いは、まさに戦争と同じ位置付けである。現在、MDAはコールセンターを運営しており、コロナの検査は、電話での情報に応じて、MDA隊員が、患者の自宅に出向いて検査するという方式を続けている。
しかし、当然、人手が足りないため、MDA隊員とともに、この働きを担うよう、イスラエル軍兵士100人が、全国のMDAに派遣された。
テルアビブでは、ドライブスルー検査も始まっている。
www.jpost.com/Breaking-News/529-Israelis-have-been-diagnosed-with-coronavirus-Health-Ministry-621536
<人々がベランダごしに医療スタッフに感謝の拍手>
アウトドアなイスラエル人が家で閉じこもるのは、かなり難しい。しかし、この状況は、短期では終わらず、半年ぐらいに及ぶ可能性もあるとの情報が、保健省から出始めている。
経済の打撃も大きく、今月末までに40万人が仕事を失うとみられている。この先は困難な時代がくるとみえるが、イスラエル人たちに悲壮感はなさそうである。
以下は、人々がベランダごしに、コロナと最前線で戦い、命を助けている医療スタッフに感謝と拍手を送ったビデオクリップである。
今、多くの人が家の中で仕事し、会議やカンファレンスもネット上で行なわれている。先週、反ユダヤ主義に関するカンファレンスが、ネットで行われた。子供達もネットの学習が充実しはじめている。
こうした生活が長引く中、私たちの価値観や生活様式も大きく変わって、新しい時代が始まっていくのかもしれない。