イランからの攻撃と防衛のコスト:10〜13億ドル
イラン本土に加えて、レバノン、シリア、イラク、イエメンから発射されたUAV(無人機)と巡航ミサイル、弾道ミサイルは、300発以上で、搭載されていた爆発物は60トンとみられる。
イスラエルは、友好国の助けもあって、発射から7時間以内に99%を迎撃することができた。しかし、一晩にかかった防衛出費は10〜13億ドル(約2000億円規模)と推測されている。
1)UAVと巡航ミサイル撃墜
UAVは、イランからイスラエルに到達まで数時間かかるので、察知と撃墜はそう難しくない。170機のうち、70機は、米軍が撃墜していた。ILTVが、イラクの電線にひっかかったイランのUAVを報じていた。
巡航ミサイル30発は、到達までにかかる時間は1時間で、イスラエル、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダンが、全部迎撃した。
2)弾道ミサイル撃墜:アイアンドーム・ダビデのスイング・アロー迎撃ミサイル
問題は、10-12分で到達する弾道ミサイルである。
これについては、アイアンドームの他、長距離で迎撃するアロー2とアロー3迎撃システム(大気圏外で撃墜)が活躍し、発射された120発のうちほとんどを撃墜することができた。
アイアンドームは1発3万ドル(約154万円)である。250キロ先で迎撃できるダビデの投げ縄ミサイルは、1発70万ドル(約1億円)
長距離のアロー2は、一発150万ドル(約2億3000万円)、アロー3は、1発200万ドル(約3億円)する。
アローは、高度上空で迎撃するため、その破片の落下が危険になる。
イランはネゲブ地方にあるイスラエル軍基地ネバティムを標的にしていたとみられており、ミサイルの破片の多くはネゲブ地方に落下した。
今回唯一の負傷者となったベドウィンの少女(7)が負傷したのもネゲブ地方アラッドであった。以下はアロー3の迎撃の様子
Very unique footage showing an exoatmospheric interception amid the Iranian ballistic missile attack, likely by the Arrow 3 air defense system. pic.twitter.com/wrZNCV01tn
— Emanuel (Mannie) Fabian (@manniefabian) April 14, 2024
3)弾頭ミサイルを迎撃したF35戦闘機
また特に注目されたのは、新型のF35ステルス戦闘機による迎撃である。マッハの速度で飛ぶ弾道ミサイルを、戦闘機が撃墜するという、恐るべき技術力であった。F35そのものの価格は別として、それが発射するミサイルは1発2万ドル(約300万円)である。
イスラエルは、合計で10億から13億ドル(2000億円規模)支払うこととなった。一方で、イランが使ったUAVなどは、比較的旧式で、今回の攻撃で、イランが軍事技術においては、イスラエルに劣っていることは明らかになったとの見方もある。
しかし、イランは、UAVやミサイルを自給できる上、今回は出していないミサイルもあるので、一概には、イスラエルが上とは言い切れないだろう。経済的に言えば、イスラエルが大損害を負わされた形である。
それでも、I24ニュースは、破壊される建物の被害や、なにより人命の代価に比べれば、支払う価値はあったとの見方を語っている。