シリア、イラクなどからの難民がトルコから地中海をわたり、ギリシャ、マケドニアからヨーロッパへ入る経路について。先週もギリシャ沖で難民を乗せた船が転覆し、少なくとも25人が死亡するなど、問題は深刻化を続けている。
難民問題についてはこれまでも関係諸国で対策会議を重ねているが、大きな進展は得られていない。EUでは、来週にも難民危機対策会議が行われる予定である。それに先立ち、難民の入り口となっているトルコとEUが8日、ブリュッセルで前会談を行った。
今回、トルコは独自の解決策を提案。それによると以下のようになっている。
①ギリシャに向う難民(違法)は、シリア難民も含めてすべていったんトルコに差し戻す。その費用はEUもちとする。
②差し戻された難民のうち、シリアなど紛争地域以外の難民は、本国に送還する。
③シリア難民が差し戻された場合、シリア人1人につき、トルコで合法的に移住待ちしているシリア難民1人をEUは受け入れる。
となっている。しかし、その見返りに、トルコがEUに要求するのは次の2点。
①トルコが、これまでに受け入れている250万人の難民経費の支援としてすでに約束されている30億ユーロ(3700億円)を早期支払う。これに加えて、さらに30億ユーロを追加する。
②トルコ市民がビザなしでEU圏内に入る特権を6月までに実施する。
これで、少なくとも、トルコからギリシャを経由する難民はいなくなるとみている。このおおむねの合意は、来週の本会議で正式に決まることになるが、ハンガリーが拒否権を発動する可能性もあり、まだ見通しが立ったわけではない。
またこの方策が国際法に違反する可能性があるとの意見もある他、基本的にシリア人以外のパキスタンやアフガニスタンからの難民も命がけで逃れて来ているだけに、大規模な暴動になるのではないかと懸念されている。