超正統派徴兵来月開始か:一般人の兵役延長も審議 2024.7.13

ユダヤ教政党シャス党デリ党首の兄の葬儀に慰問するネタニヤフ首相 7月12日 Koby Gideon (GPO)

ユダヤ教超正統派イシバ(神学校)学生の徴兵問題

イスラエルを分断させることがもう一つある。超正統派の兵役義務である。戦争が長引き、一般市民から徴兵された人は30万人に上る。徴兵された若者たちが、300人以上、戦死している中、同じ年頃なのに、超正統派が兵役を免除されてることに不公平感が広がっている。

これを受けて、先月、最高裁が、超正統派にも兵役に義務ありとする歴史的な判決を下した。これにより、イシバ(ユダヤ教神学校)学生約6万3000人が、徴兵の対象になる流れになっている。ギャラント防衛相は、来月からでも徴兵手続きを開始すると発表した。

www.timesofisrael.com/defense-minister-says-idf-will-start-drafting-ultra-orthodox-men-next-month/

これに対し、超正統派は猛反対。エルサレムでは大規模なデモも発生した。ユダヤ教超正統派の著名なラビたちは、これに応じないようにとの指示を出しており、本当に徴兵が始まれば、混乱が予想される。

一方、国会では、これとは逆の法案、超正統派の徴兵免除年齢を徐々に21歳まで下げて、事実上、イシバ学生は徴兵免除になる法案を通そうとする動きがある。

国会で審議された際、与党政権の中で、唯一ギャラント防衛相がこれに反対票を投じたため、法律にはまだなっていない。

今期国会は7月28日までに、この法案が可決しない場合は、来季10月に持ち越されることになるが、もしこの案が通らなかった場合、ユダヤ教正統派、今の政権から離脱すると言っており、そうなれば、政権は崩壊ということになる。

一般徴兵(男性)の徴兵期間延長案

ネタニヤフ首相がバランスをとろうとしているのか、一般庶民の徴兵期間を延長する案も、国会で審議されようとしている。

それによると、現在男性は、5年で32ヶ月の従軍義務があるところ、36ヶ月に延長され、実質徴兵8年に延長されることを意味する。

ただし、今の緊急時だけのことで、戦争が落ち着けば32ヶ月に戻されるとのこと。具体的には、戦闘員の場合、徴兵義務がが40歳から41歳までに、それ以外の場合は、45歳から46歳までになる。

www.timesofisrael.com/ministers-to-vote-sunday-on-extending-male-mandatory-idf-service-to-3-years/

イスラエルは今、北南、そして西岸地区から、イランからと危機的な戦争の中にいるが、国内の混乱も、非常に複雑で危機的な状況にあるといえる。

www.timesofisrael.com/top-rabbis-order-yeshiva-students-to-ignore-idf-call-ups-amid-brewing-coalition-crisis/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。