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西岸地区北部に戦火の気配:戦車3台配備
イスラエルは1月21日から「鉄の壁作戦」と称して、西岸地区北部ジェニン周辺で、テロ組織摘発一掃作戦を続けている。IDFによると、この作戦が始まって以来、これまでに70人を殺害。300人を逮捕している。
こうした中、2月20日(木)、テルアビブ郊外で3台のバスが、続けさまに爆発、炎上するテロ事件が発生した。奇跡的に、バスの中にだれもいない状態だったので、死傷者はなしであった。
バス内部に残っていた時限爆弾が、西岸地区で作られているタイプのものだったことから、カッツ国防相は、西岸地区に3大隊を増強すると発表。
ジェニンでのテロ組織と武器がある巣窟を一掃する作戦を準備すると表明した。
この翌日の2月21日(金)、ネタニヤフ首相が、西岸地区のツルかレムを訪問し、そこで、イスラエル軍に、追加の作戦を指示した。
この翌23日、パレスチナ自治政府が、ジェニン近くにイスラエル軍の戦車3両が配備されていると報じた。西岸地区内部に、イスラエル軍の戦車が配備されるのは、2002年以来、23年ぶりである。
カッツ防衛相は、ジェニン、トゥルカレム、ヌールシャムスからは、すでにパレスチナ市民4万人が避難しており、UNRWAも活動していない。避難民には、まだ戻らないよう支持したと発表した。
今後、ガザのような大規模な掃討作戦が始まると懸念されている。
*ジェニンとその周辺
この地域には、ハマスだけでなく、多種多様なテロ組織が巣食っている。なぜそうなったのか。1993年、故アラファト議長と故ラビン首相が、オスロ合意を締結して、パレスチナ自治政府が設立され、ジェニンを中心とする地域は、完全に自治政府の管轄下とされるA地区とされた。
この地域は、基本的にイスラエル軍は入らない地域である。このため、様々なテロ組織がこの地域に集中して、拠点を置くようになった。自治政府はこれをまったく取り締まってこなかった。
2000年代初頭には、多数の自爆テロリストがここから排斥された。このため、イスラエルは西岸地区周囲に壁を作ったのであった。
しかし、自治政府の存在は変わらず、ジェニン地域は相変わらず、ヨルダンなどから武器が密輸され、テロ組織の巣窟として成長していった。
近年、イスラエルは、自治政府に対処を要請したが、その時は、もはや時遅しで、自治政府も手をつけられないほどに、さまざまなテロ組織が巣食う場所になっていたということである。
石のひとりごと
ガザに注目が集まっている間に、西岸地区での紛争もかなり深刻になっている。1月20日以来だけで、70人のパレスチナ人が死んでいるという。
2023年10月7日以来、死亡したパレスチナ人は、900人以上(少なくとも7人は子供)で、逮捕者は6000人(うち約2350人がハマス関係者)にのぼっている。
またジェニンを中心とする西岸地区北部からは、すでに4万人(数字にはばらつきあり)が避難しているという。今後、この地域もガザのような破壊の光景になるのだろうか。
イスラエルは防衛のために、こうした作戦を行っているのだが、これでは憎しみは増える一方である。とはいえ、何もしなかったら、テロリスロトは確実にイスラエル人を殺しにくる。戦うしかないのである。