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脱獄から13日目最後の2人も再逮捕完了
6日、ギルボア刑務所から、パレスチナ過激派組織イスラム聖戦のパレスチナ人6人が脱獄した件について。先週4人が逮捕したのに続いて、19日日曜、西岸地区ジェニンにおいて、残り2人も逮捕し、6人全員の最逮捕を完了した。脱獄が発生してから13日目であった。
地元メディアによると、イスラエル軍は、ジェニンへ侵攻を開始する数時間前の18日土曜夜まで、残り2人のうち1人は、まだイスラエル領内にいるとして、国内での捜索に力を入れているいう印象の情報をテレビで流していた。しかし、実際は、この時点で、すでに2人ともジェニンへ逃げ込んでいたことを把握していたとのこと。情報は、イスラム聖戦を油断させる目的があったとみられる。
その後、日曜深夜1時、治安部隊は、ジェニン難民キャンプへの侵攻を開始。イスラム聖戦との激しい銃撃の音が、SNSで伝えられた。しかし、この戦闘はイスラム聖戦の気を紛らわすための作戦で、そのわずか2時間後、小さい治安部隊が、難民キャンプから少し離れたジェニン東部のアパートを包囲する。
すると、中にいた脱獄パレスチナ人2人は、特に抵抗することもなく非武装で出てきて、そのまま逮捕された。治安部隊は、負傷者を出すこともなく、すみやかに撤退を完了したと。2人を匿っていたパレスチナ人2人もこの時一緒に逮捕された。
逮捕された2人について:イスラエル軍に投降した背景
イハム・カマンジ(35)は、2006年にイスラエル人(18)を誘拐して殺害。逮捕されて終身刑を言い渡されていた。
ムナジール・ナフィアット(26)は、2011年に、ハマスの捕虜になっていたイスラエル兵シャリーとさんとの交換に釈放されたパレスチナ人1027人のうちの一人であった。その後、違法な武器の取引をして逮捕された。
しかし、ナフィアットについては、減刑を申請しており、このままであれば、数ヶ月後には釈放になる可能性があったという。
今回、2人の動きには不可解な点があった。2人は、ジェニンの難民キャンプに隠れていたが、イスラエル軍の侵攻が始まった夜、キャンプから出てジェニン東部へ移動していた。難民キャンプにいれば、武装したイスラム聖戦がいるので、そう簡単には逮捕されなかったはずである。
逮捕されたイハムの父親、ファッド・カマンジさんがAP通信に伝えたところによると、息子は投降する前に、父親に電話し、家族に迷惑をかけないよう、投降すると伝えたとのことであった。2人が逮捕されたジェニン東部が、パレスチナ自治政府ファタハ勢力の地域であったことから、なんらかのパレスチナ自治政府の協力があった可能性も指摘されている。いずれにしても、イスラエル軍に諜報力の高さを示す結果となった。