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西岸地区ジェニンでの戦闘でイスラエル兵1人戦死
ガザと北部ヒズボラとの戦闘の背後で、西岸地区でも戦闘はエスカレートしている。実はもっと深刻かもしれない。
最近では6月初め、イスラエル軍はジェニンへの大規模なテロリスト捕獲作戦を実施した。
ジェニンは、西岸地区北部の件で、その中に都市としてのジェニンがある。パレスチナ自治政府が管轄する大都市の一つで、通常は、イスラエルの治安部隊は入らない、A地区である。
一般の地域と難民キャンプの地域があり、ハマスやイスラム聖戦、そのどちらにも入らない若者たちの新しいムーブメントなど、パレスチナ人過激派グループの巣窟となっている。
イスラエルは、もう何度もこの町に進軍し、パレスチナ人と衝突してきた。6月初頭にも大規模に進軍を行い、テロリストとそのグループを摘発する作戦を実施した。
その中で27日、イスラエル軍の装甲兵員輸送車が、走行中に道端に仕掛けられた爆弾が爆発。中にいた兵士を脱出させようと、多数の兵士が集まってきたに、別の爆弾が爆発。車両の外にいたイスラエル兵1人が死亡。16人が負傷した。これについては、イスラム聖戦が犯行声明を出した。
死亡したのは、アロン・サギウ大尉(22)狙撃隊司令官だった。
ジェニンでは、道路脇に多数の足跡爆発装置(IED)が埋められているため、通常は、先に軍用ブルドーザーが入って、先に処分してから、軍用車が入ることになっているという。今回の2発は、処分しそこねていたものとみられる。
10月7日以来だけで、西岸地区での戦闘で死亡したパレスチナ人は540人(戦闘員含む)。逮捕者は、4150人で、このうち1750人がハマスとなっている。
一方、西岸地区でのテロ事件で死亡したイスラエル人は、治安部隊要員含め、21人。
イスラエルが西岸地区前哨地5カ所を合法化で物議
西岸地区での緊張が高まっている最中の27日、イスラエルの安全保障内閣(ガンツ氏抜き)が、西岸地区の前哨地とされる5カ所(アビヤタル、スデ・エフライム、ギブアット・アサフ、ハレツ、アドラヤム)の合法化を、パレスチナ自治政府に対する制裁の1項目として承認したとの発表があった。
発表したのは、この案件の発案者でもあった、宗教シオニスト党の党首で、財務相も務めるスモトリッチ氏である。
何に対する制裁かというと、パレスチナ自治政府(PA)が、イスラエルを国際司法裁判所と、国際司法裁判所に訴えたことなどを挙げている。制裁には、この他、PA当局者の西岸地区からの出国許可取り消しなども含まれている。
www.jewishvirtuallibrary.org/map-of-palestinian-autonomy%5B/caption%5D
非常にややこしいが、オスロ合意以降、西岸地区は、PA管理のA地区、イスラエルとPAが関わるB地区、イスラエル人が住むイスラエル管理とされるC地区に分かれている。
イスラエルはB地区全体の税金を徴収し、パレスチナ自治政府分については、PAに送金することになっている。
しかし、イスラエルは、その資金をPAが、死亡するなどしたテロリスト家族に引き渡されているなどから、その送金を差し止めるなど、外交の鍵として使っている。
スモトリッチ氏は、今年4月以来、この送金を、さまざまな形で、事実上止めている形になっているため、PAの支配力を、さらに低下させたといわれている。
アメリカは、これが、(PAに属さない)ハマスやイスラム聖戦を強める結果になっていると非難している。
今回の前哨地5カ所の合法化は、パレスチナ人との対立を悪化させるとともに、アメリカとの関係にもあらたな冷水になると物議になった。イスラエル国内でも、今のネタニヤフ政権の大きな問題だの声が上がっている。
www.timesofisrael.com/cabinet-okays-legalizing-5-outposts-sanctioning-pa-officials-minister-says/