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西岸地区での暴力の応酬
1) 西岸地区カルキリヤでの暴力の応酬
西岸地区カルキリヤ(テルアビブから13キロ)では、20日、イスラエル人男性(78)が車から引き摺り出されて、車を奪われた。その後、イスラエル国境まで搬送されたが、すでに意識なく、死亡した。
イスラエルの治安部隊は、カルキリヤに突入し、奪われた車を捜索そうとしたところ、投石するパレスチナ人らの暴動が発生。イスラエル軍の反撃でナエム・アブドラ・サムハさん(15)が負傷。後に死亡した。
www.timesofisrael.com/deadly-clashes-erupt-in-west-bank-after-elderly-israeli-killed-in-carjacking/
その翌21日、カルキリヤに入ったイスラエル治安部隊は、指名手配になっていたイスラム聖戦のメンバー2人を逮捕しようとして衝突。2人は死亡する結果となった。
その翌日、カルキリヤでは、車で移動中だったイスラエル人のアムノン・ムフタルさん(67)が、パレスチナ人に銃撃された。
アムノンさんは、パレスチナの赤新月車救急車に救出され、イスラエル側に引き渡されたが、その後死亡した。アムノンさんの車は火を放たれて炎上していた。
犯罪の可能性もあったが、その後、テロ事件であったとみられている。れほどに緊張した状況人あるが、イスラエル人たちは、西岸地区に安い野菜を買いに行っているという。アムノンさんもその一人であった。
2) イスラエル軍がパレスチナ人を盾にした!?
22日、西岸地区でも激戦地区ジェニンで、パレスチナ人男性が上半身裸の状態でイスラエル軍に車両に縛り付けられた状態で、移動しているクリップが明るみに出た。
قوات الاحتلال تنكل بشاب فلسطيني في #جنين بربطه على مقدمة آلية عسكرية#حرب_غزة pic.twitter.com/Oor9G1r66N
— قناة الجزيرة (@AJArabic) June 22, 2024
男性は、この日もジェニンで発生した銃撃戦が発生しており、イスラエル軍兵士らは、その時に拘束したパレスチナ人を軍車両の前に縛り付けたとみられる。後で、男性は赤新月車に引き渡している。
しかし、パレスチナ人たちやアルジャジーラなどでは、「人間の盾」にしたと大騒ぎである。イスラエル軍は、調査すると言っている。
10月7日以前から、またそれ以後も、西岸地区では、テロ組織を摘発するイスラエル軍とパレスチナ人との衝突は、日常茶飯事となっている。10月7日以後は、さらに激しくなっていた。
10月7日以降で、イスラエル治安部隊との衝突で死亡したパレスチナ人は540人。逮捕者は4150人。このうち、1750人はハマスとなっている。
これに加えて、西岸地区では、強硬右派ユダヤ人入植者ユースグループなどによる、パレスチナ人への嫌がらせや暴力が相次いでいる。
西岸地区でも憎しみの連鎖は深く激しくなっている。ハマスを支持する人が多いのもそのためであろう。レバノンのヒズボラと全面戦争になれば、西岸地区からもイスラエルを攻撃してくる可能性は十分にある。
スモトリッチ経済相の西岸地区合併案をニューヨークタイムスが摘発
このような時だが、極右で、宗教シオニストのスモトリッチ財務相が、21日、西岸地区の統治方法を変える方向で政府が準備を始めているとった内容を、入植者たちに語っていたと録音による記録が明らかになった。摘発したのはニューヨークタイムスである。
宗教シオニズムによると、西岸地区は、神がユダヤ人に与えたものと主張している。スモトリッチ氏は、さすがに、「併合」という言葉は使わなかったが、ネタニヤフ首相が、その方向で何かの変化を考えていると言っているのである。スモトリッチ氏は、その変化をメガ・ドラマチックだと語っていたという。
しかし、戦後ガザについて、アメリカやサウジアラビアなど湾岸アラブ諸国は、西岸地区とガザにパレスチナ国家を設立することは避けられないと言っているので、この動きはいわばタブーといってもいい内容である。
状況はあらゆる面で、イスラエルに困難をもたらしているようである。