目次
イスラエルは多様な国であり、今は強硬右派政治家たちによる政権になっている。その中でも特に、警察を管轄するベングヴィル氏は強硬右派であり、と西岸地区の入植地を扱う官僚は、強硬な宗教シオニストのスモトリッチ氏となっている。
強硬右派たちは、今のイスラエル国土だけでなく、東エルサレム、西岸地区すべても神が、ユダヤ人に与えた地だと信じているため、それらの地域に住むパレスチナ人は、排斥すべきだと考えている。
このためか、この政権になってから、西岸地区におけるパレスチナ人への暴力と追放行為の放置、またユダヤ人の入植活動が進む傾向にある。
またイスラエル国内では、アラブ人社会での殺人事件が、ほぼ野放し状態で、自滅を黙認するかの動きにあり、イスラエル国内のアラブ系市民たちが、首相官邸前でデモをするまでになっている。
西岸地区で進むパレスチナ人への暴力とユダヤ人入植活動
西岸地区では、10月初旬からオリーブの収穫に入っているが、この間に、入植者(セトラー)と呼ばれる強硬過激右派ユダヤ人の若者たちによるパレスチナ人たちへの攻撃や放火が続いている。
#فيديو | المستوطنون يضرمون النيران في ممتلكات الأهالي خلال مهاجمة تجمع معازي جبع البدوي شمال شرق القدس pic.twitter.com/FeG7op1bPz
— وكالة شهاب للأنباء (@ShehabAgency) November 9, 2025
パレスチナ側の情報ではあるが、11月8日(土)、ナブルス近くの村など複数の地域で入植者たちの攻撃があり、15人が負傷。9日(日)にもマスクをした数十人が、西岸地区のジャバと、ベドウィンの村に来て衝突し、7人が負傷した。オリーブの収穫にも支障が出ているとのこと。
また西岸地区では、ユダヤ人の家屋建設も急増している。今年に入ってから販売に出された家の数は5667棟と、年間数ではこれまでの最高を記録した。これまでの最高は2018年の3808棟であったことから、相当な増加数であることがわかる。
新たな住居が建てられている地域は、主に、エルサレムに近いマアレイ・アドミムと、西岸地区では最大のユダヤ人入植地で、すでに市扱いでもあるアリエル周辺である。これらすべてにユダヤ人が入居した場合、西岸地区入植者が2万5000人増えることになる。
マアレイ・アドミムとエルサレムの間には、物議となっているE1地区があり、今年ここにも3400棟の建設が許可された。E1にユダヤ人が住むようになれば、将来的には、エルサレムがマアレイ・アドミムとつながって、西岸地区を分断することになる。
パレスチナ人たち、特に今、その国家承認の問題が国際社会で出ている中、イスラエルの入植地拡大の動きは、繊細な問題になりうる。しかし、そうこうしているうちに、入植地の拡大は進んでいるようである。
イスラエル国内アラブ系住民殺人事件1日で7人死亡:今年の犠牲者233人と急増
イスラエルでは、アラブ系市民が住む地域で、アラブ人どうしの殺人事件がほぼ野放し状態になっていることが問題になっている。そうした中、11月7日(金)の夜だけで、テルアビブなど、全国のアラブ人地域で、7人が銃殺される事態になった。
同様に殺人事件で死亡したアラブ人は、今年に入ってからだけで、223人である。このうち189人は互いの銃殺で、11人は警察官による銃殺となっている。うち112人が30歳以下で、18歳未満の未成年も5人。20人は女性であった。昨年の同時期と比べて、9%の増加となっている。
アラブ人社会では、各種犯罪事件の他、姦淫時などでの家族間の殺人の他、部族闘争からの殺人も発生している。
本来、イスラエルの警察が取り締まるところだが、これらの殺人事件をほとんど解決していないという。警察を管轄するのが、イスラエルはユダヤ人の国と主張するベングヴィル氏なので、アラブ系住民は、あえて、アラブ人の殺人犯罪を無視していると訴えている。
ベングヴィル氏が、警察閣僚に就任したのは、2023年である。Times of Israelによると、ベングヴィル氏は、就任した際、前任者が実施していたアラブ系社会の犯罪防止対策をすべて解除した。そのせいか、2023年のアラブ系社会での犯罪は、前年の2倍になっていたとのこと。
11月9日(日)、エルサレム首相官邸前では、アラブ系住民たちが、この件を改善するよう訴えるデモを行った。
www.timesofisrael.com/after-7-arabs-shot-and-killed-over-weekend-hundreds-rally-outside-pms-office/
石のひとりごと
この地域には、確かに、聖書時代から1000年以上にわたってユダヤ人とその国が、存在していたのであり、いったん消え去ったのではあるが、1900年以上経って、今、その元の地に、ユダヤ人が帰ってきたということに間違いはない。また、ユダヤ人生き残りのために、イスラエルという国は、唯一であり、必要不可欠である。
しかし、西暦70年以降、1948年にイスラエルが戻ってくるまでの間に、アラブ人が1000年以上も住んでいたことも確かなことである。非常に難しい問題である。
