西岸地区で暴力の応酬:パレスチナ人のテロでイスラエル人1人死亡・過激入植者暴力激化の中・2025.11.20

(Photo: AP Photo/Ohad Zwigenberg)

西岸地区グッシュ・エチオンで車突っ込みテロ:イスラエル人1人死亡

こうした動きの翌日の11月18日(水)、エルサレム南部の西岸地区入り口に近い、グッシュ・エチオンの交差点で、車突っ込みとナイフによるテロが発生した。

イスラエル軍によると、パレスチナ人テロリスト2人は、交差点にいた人々に車でつっこんだ後、1人が車から降りて、コーヘンさんをナイフで殺害していた。テロリスト2人は、近くにいた治安部隊が、その場で射殺した。

テロに使われた車には、多数の爆発物があったため、治安部隊は、まずこれらを無力化しなければならなかった。

このテロで死亡したのは、ヘブロン近郊の入植地、キリアット・アルバ在住のアハロン・コーヘンさん(71)。負傷した3人のうち、1人(55)女性は重傷、30歳男性と15歳少年が中等度となっている。

パレスチナ当局によると、2人は、ヘブロン出身のイマム・アル・アトラシュ(18)と、ヘブロン近郊ベイト・ウマル出身のワリード・サバルナ(18)。2人の遺体は、イスラエル当局が保護している。

ネタニヤフ首相は、改めて、ハマスの武装解除とガザ地区の非過激化の重要性を強調した。

www.timesofisrael.com/man-killed-in-terror-attack-at-gush-etzion-junction-in-the-west-bank-3-others-wounded/

過激入植者によるパレスチナ人への攻撃激化中:ネタニヤフ首相が取り締まり開始

上記テロ事件は、西岸地区では、過激入植者ユダヤ人たちによる、パレスチナ人居住地や車両、オリーブ畑への放火が続く中で発生していた。

パレスチナ側の訴えによると、こうした事件は、10月だけで、766回あったとのこと。

上記事件の前日11月17日(月)も、入植者たちは、ヘブロン北部のパレスチナ人の村を襲撃し、家屋や車両、畑を燃やしていた。

過激さを増すばかりの入植者の暴力に、さすがに、ネタニヤフ首相もとりしまりを強化するよう指示した。

これを受けて、イスラエルの国境警備隊は、同日17日、エフラタ南東部、ツール・ミスガブの違法入植地を破壊した。この時、数百人の入植者と衝突となり、負傷者が出る中、入植者6人の身柄を拘束した。

しかし、これに反発してか、この同じ夜、入植者たち数十人は、ベツレヘム西部のパレスチナ人居住地ジャバを襲撃した。さらに、そこから遠くない、ヘブロン北部の村サアルを襲撃し、複数の負傷者が出た。

イスラエル人1人が死亡したテロは、ヘブロン出身者2人が、この数時間後に実行したということである。

過激入植者の暴力は、イスラエルにとって不利にしか働かない。サル外相は、イスラエルの治安部隊は、結束して、これらを取り締まらなければならないと表明した。カッツ国防相も、過激入植者の取り締まりを強く支持すると表明した。

www.timesofisrael.com/jewish-extremists-burn-palestinian-homes-and-cars-in-west-bank-idf-searching-for-perps/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。