イラン攻撃関連:バイデン大統領とネタニヤフ首相の50日ぶり電話会談 2024.10.10

White House in Washington, July 25, 2024. (AP/Susan Walsh)

イラン攻撃関連:50日ぶりバイデン大統領とネタニヤフ首相の電話会談

9日、ネタニヤフ首相とバイデン大統領が50日ぶりに、電話で対談した。ハリス副大統領(次期大統領候補)も会話を聞いていた。

内容は、イスラエルのイランへの攻撃であったとみられている。イスラエルは、イランからの直接のミサイル攻撃を2回受けている。最後は、10月1日の180発。死傷者は出なかったが、複数地点に着弾し、迎撃の破片で被害も受けた。

これに対し、イスラエルが、反撃として、イランの核施設を攻撃すると攻撃するとみられたが、アメリカがこれを阻止した。

次に石油関連施設を攻撃すると報道されたが、アメリカはこれも阻止したため、イスラエルは、反撃を宣言しながらも、まだその動きに出ていない。アメリカの合意なく、イランを攻撃することは、イスラエルも避けたいからである。

このため、今週、ガラント防衛相が、アメリカへ行くことになっていたが、直前でネタニヤフ首相がこれを阻止し、自らバイデン大統領との対話に望んだ形である。

対談後の記者会見で、アメリカのミラー報道官は、バイデン大統領とネタニヤフ首相の対話を総括して、「直接的で、生産的な対話だった」と表明したが、具体的には明らかにはなっていない。

アメリカの立場:イスラエル防衛支持も中東戦争は避けたい

対談後の記者会見では、ミラー報道官が、アメリカは、イスラエルの防衛にはコミットしていると強調。国連決議1701(2006年)に基づき、ヒズボラを国境からリタニ川以北まで撤退させるというイスラエルの目標には、合意していると述べた。

アメリカは先月、21日間の停戦を提案したが、今はもうそれを持ち出すことはなくなっている。

しかし同時に、中東に戦争が拡大することと、市民に犠牲者が拡大することはどうしても阻止しなければならないというジレンマも表明した。

アメリカは、イスラエルが南レバノンへ限定的な戦闘を開始することには合意したが、そこからさらに戦闘が拡大して、1982年(レバノン戦争)に戻るようなことがあってはならないとも語った。

www.timesofisrael.com/biden-and-netanyahu-hold-direct-and-productive-call-in-wake-of-iranian-attack/

June 25, 2024. (AP/Susan Walsh)

余談だが、バイデン大統領とネタニヤフ首相の関係は、あまり良いとはいえない。

そのため、イスラエルとの連絡は、ほとんどガラント防衛相を通じて行ってきたのであった。

今回、ネタニヤフ首相が、強硬的にガラント防衛相の訪米を止め、自分が直接電話でバイデン大統領と話したのは、政治的な理由からだったと、国内からは批判も出ている。

www.jpost.com/opinion/article-823985

イスラエルの立場:存続をかけた戦い・イランを驚かせるような攻撃を示唆

イスラエルは、ガザのハマス、ヒズボラ、パレスチナ組織、イラク武装組織、イエメンのフーシ派、そしてそれらを支援するイランからも攻撃を受けている。

イスラエルは、これらに対し、確実に、また大規模に反撃、攻撃を続けており、敵側に多数の死者と、民間人にも死者が出ている。このため、世界、また国内外のユダヤ人の中にも、イスラエルがアンバランスに戦争をしていると感じている人もいる。

しかし、イランとその傀儡組織との対立は、今に始まったわけではない。イスラエルは長年にわたり、これらの組織と闘いながら、その背後にイランがいると主張し続けてきた。イランは、これまでからもずっとイスラエルを消し去ると公式に表明してきた国である。

そうして、今、ハマスが先にイスラエルを先制攻撃するとともに、イラン傀儡組織全部がいっせいにイスラエルへの攻撃を行い、背後にいるイラン自身ももはや隠すことなく、イスラエルを攻撃している。イスラエルにとっては、存続をかけた戦いという位置づけである。

このため、現政権が計画しているイランへの攻撃は、ネタニヤフ首相だけでなく、ガラント防衛相、野党のガンツ氏、また最近人気が出てきたベネット氏も全員が、今イランを攻撃する時だと声明を出している。

ハマス、ヒズボラが弱体化しており、イランもまだ核兵器を完成していないチャンスの時ということもあるだろう。イランへの攻撃についていえば、イスラエル指導者たちは一致している。

ではどんな攻撃がいつあるのかだが、ガラント防衛相は、正確で致命的、超エリートの諜報部隊9900が動くような作戦であり、イランが、一体どうやってこんな攻撃がというような、かなり意表をつくような攻撃になると示唆している。

www.timesofisrael.com/biden-and-netanyahu-hold-direct-and-productive-call-in-wake-of-iranian-attack/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。