昨年末に、イスラエル人がガザ国境で射殺されたが、それ以降もイスラエル南部ガザ周辺にロケット弾が撃ち込まれており、イスラエル軍が反撃して、ガザ地区周辺の緊張が続いている。
13日にはネゲブ地方で故シャロン首相の埋葬が行われたが、列席したネタニヤフ首相や、ブレア中東特使などが立ち去った直後に、その周辺に2発のロケット弾が撃ち込まれた。彼らが立ち去った後だったため被害はなし。
16日にはアシュケロンに向けて6発のロケット弾が発射された。このうち5発はアイアンドーム(迎撃ミサイル)が撃ち落とした。着弾したものは、空き地に落ちたため、被害はなし。
19日のイスラエル軍による攻撃で、パレスチナ人2名(12才、22才)が重傷を負っている。
ガザ地区からイスラエル領内へのロケット攻撃は、この3週間で17回。これに対して行われたイスラエル空軍による空爆は7回となっている。
こうした情勢を受けて、南部都市では市長の判断で、学校がしばしば休校になっている。
<ハマスが支配権を失いつつある!?>
ガザを支配しているのはハマスだが、その強力な味方であったエジプトのムルシ前政権(ムスリム同胞団所属)が失脚して以来、急速に勢いを失っている。
今のハマスにイスラエルと事を構える余裕はなく、ハマスはイスラエルとの紛争は望んでいないというのが周知の事実だった。
したがって、今回のイスラエルへの攻撃は、ハマスの意に反してガザに入り込んだサラフィストなどイスラム過激派諸団体が行っている可能性が高い。これはハマスの支配力がさらに落ちていることを意味している。
皮肉なことだが、最近、イスラエルはUNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)とともに、ガザへ搬入する物資を増加させ、ハマスの権力維持に協力してきた。イスラエルにとっては、”おとなしくなった”ハマスの方が、未知の凶悪なイスラム組織よりもましだからである。
しかし、最近、シリア難民に対処するため、UNRWAの予算が大きく削減された。今後、UNRWAの支援に依存するパレスチナ人の不満が高まり、何かのきっかけで一気に火をふきかねない土壌ができつつある。
このため、イスラエルは、慎重にガザ情勢に対処しているもようである。