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北部ヒズボラとの停戦から1年目の緊張
先月23日、イスラエルが、ヒズボラ指導者がNO2の軍事参謀総長、ハイサム・アリ・タバタバイを暗殺した後、約1週間後の29日(金)に、ヒズボラのトップ、ナイム・カッサムが、ヒズボラは反撃する権利があると表明。対戦姿勢を明らかにした。
北部国境が緊迫する中、ネタニヤフ首相は12月2日(火)、アメリカのレバノン特使モルガン・オルタガス氏と会談。イスラエルはあらゆるシナリオに備えているとして、停戦合意から1年を迎え、それが崩壊する可能性も示唆した。
トランプ大統領は、これを阻止したいと考えているが、ネタニヤフ首相は、これはイスラエルが決めることだと言っている。
www.jpost.com/israel-news/defense-news/article-879004
こうした中、現ローマ教皇のレオ14世(アメリカ人)が、トルコに続いて、11月30日から、レバノンを訪問。レバノンには、3日間滞在して、12月2日(火)に出発した。
イスラエルは、この間に、攻撃することは控えると表明していた。教皇が出立した本日以降、どうなるのか注目される。
最新のニュースでは、アメリカは、停戦を維持するため、オルタガス特使をベイルートへ派遣するとのこと。
イスラエルが黙認できないヒズボラ回復の流れ
ヒズボラについては、2024年11月に、イスラエルとレバノン政府が停戦の合意に至った際に、レバノン政府が、ヒズボラを、リタニ川以北まで追放し、それより南部からは一掃することになっていた。
しかし、レバノン政府は、ヒズボラを十分に制圧できておらず、レバノン南部には、ヒズボラが、再度武装強化しているため、イスラエル自らが攻撃をしなければならなくなっている。

その中で、ヒズボラの最高司令官であるアリ・タバタバイの暗殺に踏み切ったのであった。
これに対し、レバノン軍は、11月28日(金)、これまでの成果を強調するかのように、レバノン南部で発見された、ヒズボラの地下トンネルをメディアに公開した。
レバノン政府によると、南部ではこのようなトンネル74本が見つかっているとのこと。公開されたトンネルは、電気や水道など生活設備に加えて、医療施設らしき部屋もある。
トンネルは、相当古く、かなり長期間にわたって、ヒズボラが潜んでいたことがわかる。
イランから停戦中にヒズボラに送金:10億ドル(約1550億円)

停戦中、主要な支援国であるイランから遮断されていたはずのヒズボラが、なぜこれほどに武力を再構築しているかについて、WSJ(Wall Street Journal)が、トルコからの支援と、イランからも多額の現金が届いていたことを報じた。
それによると、イスラム教徒たちの間では、何世紀も前からある、「ハワラ」と呼ばれる信頼に基づくマネーロンダリングの方式があり、それによって、イランから、UAEのドバイを経由して、ヒズボラに現金が届けられていた。(UAE政府は否定)
またレバノンも、イランからの密輸を防止するため、直行便の停止や、空港での検査を強化しているが、個人レベルで持ち込む少額の現金や、宝石などは、それらを回避して、ヒズボラに届いていたという。
アメリカの対テロ・金融情報担当者が、2024年の停戦からちょうど1周年に当たる2025年11月に発表したところによると、停戦後の1年間野間に、イランからヒズボラへ届いた現金は、約10億ドル(約1550億円)だったと発表していた。
