<トランプ大統領の心変わり?:ネタニヤフ首相プーチン大統領訪問>
9月に入ってから、イスラエルが、シリア、イラン、イラクにまでイラン拠点を攻撃したことはお伝えした通り。そうした中、トランプ大統領が、イランに強行的な政策を推し進めてきたボルトン大統領補佐官を突然解雇し、イランとの無条件の対話もありうると柔軟な姿勢を示し始めた。来年の選挙対策とも評されている。
*イランとの対話について、後にロウハニ大統領は、その予定はないと語り、トランプ大統領は、イランとの無条件の対話はないと否定した。
これはイスラエルのネタニヤフ首相にとっては、好ましい動きではない。ネタニヤフ首相にとっては、イスラエルと同じところに立って、イランに圧力をかけ続けるトランプ大統領との親密な関係が売りなのである。
直接の関係はないかもしれないが、ネタニヤフ首相は、総選挙前の12日、急遽、ソチで、ロシアのプーチン大統領を訪問した。ロシアは、イスラエルがシリアで、イラン軍関係拠点を攻撃することを黙認する立場をとっている。シリアやイラクで力を持つのは今やロシアである。ネタニヤフ首相の訪問は、プーチン大統領に、ロシアのこの立場を確認するためであったと思われる。
会談後、両首脳は、治安問題での協力を確認したと表明した。明らかにネタニヤフ首相の選挙対策の一環だが、アメリカがどこまで信頼できるのかわからない中、ロシアとの安定した関係は、イスラエルにとっては、非常に重大なことである。
<サウジアラビア石油施設攻撃について>
ネタニヤフ首相が、ロシアから帰国した2日後の14日、サウジアラビアの油田が、大規模な攻撃を受けた。これについては、イエメンでサウジアラビアが支援するイエメン政府軍と戦っている反政府勢力のフーシ派が、犯行声明を出した。
フーシ派とは、イランが支援する反政府組織であることはすでに周知のこととなっている。アメリカは、この攻撃はフーシ派の単独の攻撃ではなく、イランの指示によるものの見方を表明。トランプ大統領は、アメリカは大規模に報復攻撃する用意もあると発言し、急激に緊張が急激に高まった。
しかし、イランのロウハニ大統領は、この攻撃はあくまでもフーシ派によるもので、イランではないと関与を否定した。
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190917-49723741-bbc-int
アメリカは17日、攻撃された石油施設の航空写真を公開した。攻撃は、ドローンと巡航ミサイルによるものとみられるが、正確にどこから攻撃されたかを特定することは難しいという。トランプ大統領が、国際社会との協調が必要だとして、今すぐの攻撃ではないと語っている。
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190917-49723741-bbc-int
しかし、16日には、NATOのストルテン事務総長も、「イランが中東を揺るがしている。」として、攻撃がイランによるものとの見解を述べた。
headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190917-49723741-bbc-int
<世界への影響>
この攻撃の被害で、サウジアラビアで生産されていた1日570万バレル(世界石油供給量の5%)の原油の供給が停止している。復旧にはまだ時間がかかるようである。
これにより、原油の先物価格が19%(71.95ドル)上昇。トランプ大統領が、アメリカの備蓄を必要に応じて放出するよう指示を出したため、それ以上の高騰は抑えられているとのこと。
影響は、日本をはじめ、中国などアジア諸国など、世界に及んでいるが、それぞれの国は22ー300日分の備蓄があるため、今すぐの混乱は発生していない。
<イスラエルへの影響>
イランをめぐって中東情勢が厳しくなっているが、イスラエルは、今はそれどころではなく、この件に関する記事は今の所まだ少ない。
しかし、万が一、アメリカがNATOとともにイランを攻撃すれば、イランの攻撃の矛先はイスラエルに向くだろう。ヒズボラもその波に乗ることになる。トランプ大統領のイラン攻撃への決断は、中東、世界を巻き込む大戦争に発展する可能性を持っている。
<ロシアと中国、中央アジア諸国が大規模軍事訓練>
16日、ロシアで大規模な軍事訓練が始まった。訓練は土曜日までで、訓練には、ロシア軍と中国軍のほか、インド、パキスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスタンなど中央アジアの国々の軍も加わっている。
兵力は全体で12万8000人で、2万の兵器を装備を備えての訓練である。戦闘機は600、戦艦15隻で、こうした訓練は毎年行われてきたが、今年は、これまでで最大規模で、大規模な攻撃訓練を行うという。ロシアは訓練の目的を「国際テロとの戦いに備える」と言っている。
ロシアと中国は、こうした訓練の他、将来の貿易戦争に備え、金を蓄積しているという。(UPI情報) 欧米は、ロシアと中国の接近を憂慮すべきとする記事もある。
<石のひとりごと>
第二次世界大戦中、1941年にロシアへ攻めていったドイツ軍は、400万の大軍だったという。対するロシア軍は、268万。その規模に比べれば、まだまだ小さいかもしれない。しかし、ドローンやミサイル、核兵器、サイバー攻撃など、兵士の数では少なくても、戦力は比べものにならないほど大きくなっている。
いつの世もそうだったのかもしれないが、私たちの時代もまたきわめて、聖書が終末に来ると言われる世界戦争の形になりそうにみえる。今は特に異常気象までが、加わっている。平和な日々がいつまでも続くわけではない。いつかは終わる日がくるかもしれないとの危機感をもちつつ、今できることをやっておこうと思う。
あなたがたに告げます。これらのことが全部おこってしまうまでは、この時代は過ぎ去りません。この天地は滅びます。しかし、わたしのことばは決して滅びることがありません。ただし、その日、その時がいつであるかは、だれもりません。天の御使いたちも子もりません。ただ父だけが知っておられます。
気をつけなさい。目をさまし、注意していなさい。その定めの時がいつだか、あなたがたは知らないからです。(マルコの福音書13:30-33)