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コロンビア大学反イスラエルデモ:建物占拠
ニューヨークのコロンビア大学を皮切りに、全米に拡大した名門大学の学生たちによる、親パレスチナ、反イスラエルデモは、いわゆる平和的なデモを通り越して、暴動のような光景にもなっている。これまでに100人が逮捕されていた。
学生たちは、イスラエルが、パレスチナ人に対するジェノサイドを行っていると信じきっており、学内にテントを貼って、大学が保有する、イスラエルに関係する金融資産を売却するよう要求するなど、イスラエルとの関係を断絶するよう訴え続けて、もう2週間になる。
そのシュプレヒコールには、反ユダヤ主義にもなっており、ユダヤ人学生に深刻な危機が及んでいる。大学でのデモでは、イスラエルの旗を振りかざす親イスラエルの学生と親パレスチナの学生が対峙する様子もある。
コロンビア大学は、テントでの泊まり込みで、デモを続ける学生に対し、29日午後2時までに引き上げるよう指示したが、学生たちがそれに従わなかったので、学生への退学処分を開始したとのこと。
その後、30日深夜にかけて、デモ隊は、暴力的に、キャンパスの中心的な建物であるハミルトンホールと呼ばれる建物を暴力的に占拠した。
Students at Columbia University have occupied Hamilton hall. Today the university president explicitly said to students the school would not be divesting and threatened to suspend students protesting. The last time this building was taken over by student protesters was in 1968 pic.twitter.com/IhoWVYlocB
— Lama Al-Arian (@lalarian) April 30, 2024
この建物は、1960年代にコロンビア大学で行われた反ベトナム戦争デモ、1985年の南アフリカの人種差別を非難するデモが行われた場所である。それと同じぐらいの正義感で、反イスラエル感情を募らせているということである。
ニュージャージー州では、プリンストン大学で、29日夜、親パレスチナデモ隊が、大学院のクリオホールを占拠し、大学院生ら13人が逮捕された。
テキサス州のテキサス大学オースティン校では、治安部隊が出動していた。暴動が始まってから、全国の名門大学での逮捕者は、900人以上にのぼっているという。
BREAKING: Law enforcement moving in at the University of Texas campus in Austin to clear an impromptu encampment. pic.twitter.com/znQtYqDwoG
— Tony Plohetski (@tplohetski) April 29, 2024
www.nytimes.com/2024/04/29/nyregion/columbia-student-protest-encampment.html
こうしたデモが続いていることについて、エルサレムポストは、カタールなどアラブ・イスラム系の国々が、金を払っているという情報も出している。
石のひとりごと:反イスラエルから反ユダヤへの不気味な移行
NYTが伝えるところによると、デモを行なっている学生たちは、「自分は反シオニストだが、反ユダヤ主義ではない」ととまどいを語っているという。しかし、全員がそうではないとNYT。
学生が訴えているのは、大学が保有する金融資産の売却であり、テルアビブ大学の共同学位制度停止など、どれも学生にとっては、有益なものである。
それをやめて、イスラエルとの関係を完全に断ち切ることを求めているということである。背後に得体のしれない憎しみが見え隠れしている。これこそが、欧米社会に染み込んでいる反ユダヤ感情ではないかと感じる。
ナチスが台頭してきたドイツでも、ベルリン大学といった、特に社会的に有能な人々が、ユダヤ関係の書物やナチスのイデオロギーに沿わない本を焼き捨てるという事件があった。
ユダヤ人を排斥することは、国にとって正しいことだと、おおむね同意する社会ができていったというのが、ホロコースト前夜であった。
以下はベルリン大学で本を燃やす学生たち
今はこの時代にはなかった、ユダヤ人の国、イスラエルが存在している。反ユダヤと反イスラエル主義が重なっている。
これはアメリカに限らず、欧米社会全体を中心に世界に拡大している。オリーブ山通信では全部カバーできていないが、各地で反ユダヤ暴力が発生している。なんとも末恐ろしい、不気味な空気である。