神殿の丘問題は一応の解決となったが、ヨルダンとの関係は続いてぎくしゃくしている。アンマンのイスラエル大使館で、イスラエル人警備員がヨルダン人2人を殺害した(正当防衛の可能性)ことがまだ解決していないからである。
現在、アンマンのイスラエル大使館は閉鎖されており、今のところ、大使がヨルダンに戻るみこみはたっていない。
1)ヨルダン人殺害のイスラエル人警備員:命の危険で逃亡か
ヨルダン政府は、この警備員がネタニヤフ首相にまるでヒーローであるかのごとく迎えらえたことに非常に立腹している。イスラエルに引渡したものの、公正な捜査と処罰がなされるよう、要請している。
ヨルダン市民はもっと立腹している。金曜には、1994年にイスラエルと交わした和平条約を解消せよと、激しい反イスラエルデモも発生した。
その後、ヨルダンの新聞社が、「ヨルダン人2人を殺したイスラエル人の警備員」として、警備員の本名と写真がついているIDをそのまま掲載し、イスラエルの犯罪といった内容の記事を公表するに至った。
警備員ジブ・モヤルさんとその家族は、命の危険から、自宅を出て、現在、どこかに身を隠しているという。
なお、イスラエルは、巻き添えで、死亡したヨルダン人の大家で医師でもある男性については、補償金を支払うことになっている。
www.timesofisrael.com/israeli-guard-in-amman-embassy-affair-named-as-ziv-moyal/
2)暴動を扇動容疑でパレスチナ人33人連行
神殿の丘問題では、各地で暴力的な衝突になり、警察官らも負傷している。イスラエルがそれをそのままにしておくはずがない。31日の報道によると、治安部隊は、東エルサレムのパレスチナ人居住区各地区に踏み込み、暴動を扇動した容疑のある33人を連行した。
その中には未成年(13−17歳)7人も含まれていた。
www.timesofisrael.com/police-arrest-33-suspected-of-instigating-temple-mount-riots/
3)神殿の丘で働くZAKA隊員は祭司
イスラエルでは、テロ事件などで血まみれになった遺体や現場を片付けるのは、聖なる祭司の仕事と位置づけられているため、ZAKAと呼ばれる超正統派のボランティア組織が担当することになっている。
しかし、今回のように、神殿の丘で遺体を、イスラエル側で処理するのはZAKAとしても初めてのことであった。先に述べたように、超正統派は、ユダヤ人が神殿の丘へ入ることを禁じている。
神殿の丘で死者が出た場合、本来なら、ワクフの連絡でパレスチナ人が片付けるのだが、今回は死者がイスラエルの警察であり、死亡したテロリストの遺体もイスラエルが一時保管することになっていたため、ZAKAが入らざるをえなかった。
このため、ZAKAは、とりあえず、特別にミクベで身をきよめた隊員一人だけを神殿の丘に派遣して、対処したという。
しかし、今後、こうした事件が神殿の丘でも起こりうるということをかんがみ、隊員が神殿の丘の入る際に特別な靴をはき、最小限の移動範囲でどう動くかなど、細かい定めと準備が検討されるという。
神殿の丘にはいる隊員をコハニム(家族名がコーヘンで祭司の家系に属する人)に限るとはいまのところ言われていない。
www.timesofisrael.com/priestly-squad-formed-to-deal-with-bodies-in-future-temple-mount-attacks/