石のひとりごと:2025年に向かって前を向く 2024.12.31

エルサレム統一記念日を祝うユダヤ人女性たち 写真:石堂

2024年も終わりを迎えた。2023年の10月7日以来、時間がどんどん早く過ぎ去っているような気がする。今年1年もオリーブ山通信とともに走ってくださった読者の皆様の心からの感謝を申し上げる。

イスラエルは、1年たってもまだ人質約100人(遺体も含め)を取り戻せていない。その残虐な環境が伝えられ、心が言い知れない深みに沈む思いである。

さらに、今ガザでもレバノン(ヒズボラ)でもどうにも終わりが見えない戦闘に立たされている。若いイスラエルの予備役兵たちが、どんどん戦死しており、読者の皆さんにとっても、その笑顔を見るだけでつらい事であったことと思う。

まさに、現地の家族、友人たちの思いは、想像を絶する苦しみといえる。2025年が明けようとする今、主よ。いつまでですかと言わざるを得ない。

しかし、それでも新しい日々と年はやってくる。イスラエル国内の人々によると、生活はそれなりに続いているとのこと。相変わらず、不条理があっても、それでしゃがみ込むことになんの意味もないことを知っている人々である。それでも生きるしかない。いや、楽しんで生きようとする人々である。

今イスラエルのハイファ大学で日本語を学んでいる大学生たち数人が、日本に来ていて、北海道のキリスト教会との交流を楽しんでいる。その学生たちは、日本に来る前、全員従軍していたという。

そのうちの一人は、日本へ来る直前に双子の弟が従軍でガザへ出発していったとのこと。心に不安もあることと思われる。彼らの教師によると、日本で楽しんではいるが、それぞれ、深いストーリーを抱えているとのことであった。

また、テクニオンで、日本語を学んでいるイスラエル人の学生は、弟が兵役でガザに出兵していったので、兵役が終わったら、お祝いに家族で日本へ旅行に行く計画を立てていた。

ところが、弟は、兵役が終わる3ヶ月前に戦死してしまった。家族は、旅行をとりやめたかというと、そうではなく、ちゃんと日本旅行に出かけていたことがわかった。家族は、きっと、弟も一緒に日本に行っているという思いで一致していたという。

イスラエル人は、日常を変えない、すぐに回復することこそが、敵への勝利だと考えていると聞いたことがある。

戦争で、まだ先が見えない中で始まる2025年。イスラエルを決して見捨てない主を信頼し、逆に不可能な状況であるがゆえに、主の手を見ることを期待する。いかに苦しくても、目を離すことなく主と共に見守り、共にとりなしを続けていただければと思う。

「慰めよ。慰めよ。わたしの民を」とあなたがたの神は仰せられる。「エルサレムに優しく語りかけよ。これに呼びかけよ。その労苦は終わり、その咎は償われた。そのすべての罪に引き替え、二倍のものを主の手から受けたと。」イザヤ書40:1-2

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。