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発見の48〜72時間前に銃殺か:人質6人の遺体保護
9月1日朝、10月7日に拉致された人質の6人の遺体が、ラファの地下20メートルのトンネル内で発見され、無言の帰国となった。
6人の遺体は、先週、27日にファルハン・アル・カディさんが生きて保護されたところから約1キロ離れた地点で発見された。この際、ハマスとの戦闘はなかったとのこと。
遺体の様子から、6人は、発見される48-72時間以内(先週木曜から金曜日の間)に、何発もの銃撃を受けて死亡していた。イスラエル軍がすぐ近くで人質の捜索をしていたのに、間に合わなかったということである。
6人の中には、21日、アメリカの民主党大会で無事の帰還を訴えたばかりのゴールドバーグ・ポーリンさん夫妻の息子、ハーシュさんも含まれていた。
殺害されていた6人は以下の通り。
ハーシュ・ゴールドバーグ・ポーリンさん(23)、エデン・イエルシャルミさん(24)、オーリー・ダニノさん(25)、アレックス・ロバノヴさん(32)、カーメル・ガットさん(40)、アルモグ・サルシさん(27)
あまりの悲劇に、イスラエル中、心がうちひしがれている。ハーシュさんの家族は、この訃報に、かなりのショックを受けており、これまで支えてくれた人々に感謝を表明するとともに、今は静かにしておいてほしいと言っているとのこと。
なお、イスラエル軍は、まだガザにいる人質101人を必ず取り戻すと宣言している。
ネタニヤフ政権へ怒り爆発
ガザでは、今月20日にも人質6人の遺体が発見されていた。この時も人質家族たちは早く交渉を進めて、残りの生きている人質を取り戻すよう、強く訴えていた。
その後、6人の遺体が発見される直前、イスラエル軍は、エジプトとの国境、フィラデルフィ回廊を制覇した。このため、今こそ、ハマスとの交渉に応じて、フィラデルフィ回廊から撤退してでも、人質解放を優先する時だとの声があがっていた。
しかし、ネタニヤフ首相は、交渉が進まないのは、ハマスが、イスラエルからの要請を全部拒否しているからだと強調。
またイスラエルは、治安維持を考えれば、ハマスの主張を受け入れて、フィラデルフィ回廊から軍を撤退するわけにはいかないと、これまでの主張を堅持すると明確な声明を出していた。
これは、言い換えれば、イスラエルの将来の治安のために、今現在人質になっている人々の救出は後回しにする、見殺しにすることを意味するわけである。
これについては、ギャラント防衛相が、ネタニヤフ首相と口論になったと伝えられていた。しかし、その他の閣僚たちは、おおむねネタニヤフ首相を支持したとのことで、ギャラント防衛相が孤立した形となっていた。
人質6人はちょうどこの直後に殺害されていた。またこの6人は、今交渉に上がっている第一段階で解放される人質の名簿にその名前が上がっていた人たちだった。
人質家族たちの政府への怒りは爆発し、別記事で解説するが、テルアビブでは28万人とも言われる大規模な反政府でもが発生。
全国でもデモが行われた他、労働組合がストに入って、空港閉鎖、学校も新学期が始まらないないなど、混乱になっている。
ネタニヤフ首相については、10月7日に起こりうる危険について、シンベト(国内治安組織)から、10週間前に警告を受けていたとの情報が取り沙汰されており、首相の責任は逃れられないと、この点からも、ネタニヤフ首相への風当たりはかなり厳しくなっている。
www.ynetnews.com/article/rkh11shbn0
10月7日イスラエルを襲ったハマスは6000人!?:イスラエルTV新データ発表
イスラエルのテレビ局チャンネル12(ゴールデンタイム局)が、イスラエル軍による新たな調査結果として報じたところによると、10月7日に、ガザからイスラエルに侵入したパレスチナ人は、6000人にのぼっていたことがわかった。これまでの2倍の数字である。
6000人のうち3800人は、ハマスのエリート部隊ヌクバのメンバーで、2200人は、多くはガザの民間人だが、イスラム聖戦などハマス以外のテロリストも含まれれいたとみられる。
侵入口は、以前は、60箇所と言われていたが、新たに119箇所と報告された。
さらにこの日、さらに1000人がイスラエルのロケット攻撃に関わっていたこともわかった。10月7日にイスラエルにむけて発射されらロケット弾は、5000発で、このうち3000発は、攻撃開始から4時間内に発射されていた。
なお、10月7日、1200人が死亡(このうち350人は音楽フェス参加者)。家族全員が自宅で処刑されたものもいた。
また、251人が拉致され、このうち女性はレイプされ、10か月経った今、妊娠している写真が、イスラエルにいる家族に送りつけられてきたとの情報もあった。
世界はハマスがどれほど悪魔的なほとに残酷な集団であるかをおそらく、全然わかっていないと思う。
石のひとりごと
SNSには、今回遺体となって戻ってきた6人の生前の美しい笑顔の写真が次々にアップされてくる。どれも人生を謳歌しているかのような美しい笑顔である。あまりの悲惨に思わず心と手が止まってしまう。
イスラエル人は、先週、生きている人質のアブ・カディルさんが戻ってきて、国をあげての喜びを経験していた。今後さらに生きている人質が戻ってくると期待も膨らんだことだろう。
それがその2日後、一気に奈落の底である。あまりにも極端すぎる。今もガザにいる人質家族の日々の感情は、もはや想像を絶する。このUp and Down. 日本人ならおそらくついていけないのではないかとも思わされる。
しかし、今もなお、もしや、数日後、また生きた人質が帰ってくる可能性もあるわけである。
「底をついたら、もはやそれ以上悪くならない。あとはよくなるだけだ」とユダヤ教賢者が言っていた。前を向くしかないイスラエル人の厳しすぎる歩みである。