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混乱続くGHF食料配布所:内部告発映像が世界に
アメリカとイスラエルによる、ガザの食料配布センター周辺では、銃撃で死者が連日続いている。
GHFセンターは、ガザ南部に3ヶ所、中部に1ヶ所だけで、特に北部住民は、遠距離を歩いて食料を取りに来なければならない。荷物は重いし、その間に、さまざまな危険に遭遇する。こうしたことから、国連や支援団体は、GHFの閉鎖を求めている。
ハマスも、彼らを無視したシステムであるGHFの食料配布には、撤退を求めている。ガザ市民たちには、GHF食料配布センターでは多くの人が死んでいるとして、GHFには協力しないように言っているという。
あえて混乱をもたらして、人が死ぬようにしているとも考えられる。イスラエル軍は、大変なカオスの中で、少数を殺害してしまうことはあったとは認めている。しかしハマスが日々出してくる死者数は、明らかに過剰な数字だと言っている
ちょっと考えれば、GHFでの食料配布を推進しているイスラエルが、そこでの混乱をあえて起こすはずがないことがわかる。逆に混乱が、ハマスの主張を後押しするものであることは明らかである。
こうした中、7月5日(土)、GHFスタッフの内部告発だとする映像が世界に流された。
GHFは、アメリカとイスラエルによるものなので、スタッフは、いわばイスラエルにとっては味方と考えられる存在なのだが、そのスタッフからの告発だと言っている。
それによると、GHFスタッフが身の危険を感じたときには、銃撃して良いと言われていたと証言している。日本でもこの映像は大きく報じられていた。
この映像が世界に流れた7月5日(土)、ハマスは、イスラエル軍の銃撃で、32人が死亡したと主張していた。その中で、GHFのアメリカ人スタッフも2人が負傷していた。
GHFは、この負傷した2人については、イスラエル兵の攻撃ではなく、ガザ戦闘員が投げた手榴弾で負傷したと発表している。なお、GHFは、これまでにも、現地スタッフが少なくとも8人、ハマスに殺害されたと訴えている。
イスラエル軍が北部へ食料搬送を再開決定:閣議では右派が反論
GHFは、ガザ北部でも配布センターを開設する予定だが、今も戦闘が続いていて、実現できておらず、北部住民への十分な食料配布ができていないとみられる。
このため、イスラエル軍のザミール参謀総長は、北部への食料搬送を開始することを決めた。配布するのは、GHFではなく、国際支援団体になる。
イスラエル閣議は7月5日(土)、これを審議し、最終的にはこれを許可した。しかし、スモトリッチ氏やベン・グビル氏ら、右派議員たちの激しい反発があり、議論は白熱したという。
スモトリッチ氏たちは、これまで、ガザ北部へ搬送しようとしたトラックはほぼすべて、空腹なガザ市民や、ハマスなど武装組織に略奪されたとして、イスラエル兵をそんな危険な目に合わせるのかと反発したという。
ネタニヤフ首相は、「トラックに走ってきたのは、空腹だったからだ。空腹でなくなれば、そうはならない」と反論した。これまでにかなり食料は配布されたこともあるが、食料が十分になってくれば、そういうこともなくなるということである。
スモトリッチ氏たちは、この案を出してきたザミール参謀長官は、大変な失敗者だと非難した。これに対し、野党左派中道はで前参謀総長でもあった、ベニー・ガンツ氏は、ザミール氏は、ベテランで冷静な優れた司令官だとコメントを出した。
今後、どのように搬送が始まるのかはまだ明らかではないが、注目される点である。
