来週正念場:シリア危機 2013.9.20

戦争か、停戦か。シリア問題は来週大きな分岐点を迎える。

<来週・アサド政権の化学兵器リスト期限>

一つは、アサド政権が、化学兵器のリストを提出するかどうか。これについては、ロシアの副首相が、数日前からダマスカス入りして、準備を進めているところ。

プーチン大統領は、「アサド政権が、正直に全部申告するかどうか、100%確実ということはできない。しかし、これまでの経過をみると、全部申告すると思う。」と言っている。

<来週・国連総会+安全保障理事会>

次に、定例の国連総会が始まるのも来週である。国連総会では、国連安保理も平行して開催される。シリア問題について、ロシア、中国も同意する武力行使も含む厳しい決議案が出ると予想されている。(このためにケリー国務長官が根回しのため、奔走していたのである)

ケリー国務長官は、「来週、最初のテストが来る。我々がどう決断するのか、世界中が見ている。」と、来週が正念場であるとの覚悟を語った。

繰り返すが、シリア問題がどうころぶかは、イラン、北朝鮮の核兵器問題にも関わる問題なので、シリアだけの問題に終わらないということをケリー国務長官は言っているのである。

しかし、アメリカとロシアが最終的に希望するのは、武力による解決ではない。アサド大統領がすみやかに化学兵器の申告を行い、破棄破壊への道を歩み始めること。また頓挫したままのシリア・ジュネーブ国際会議を再開し、内戦そのものを停戦へと向かわせることである。

<シリア自ら停戦に向かう可能性も!?>

19日、シリアの副首相が、シリア政府の見解として、「アサド政権側も、反政府勢力も、どちらの側にも、相手を倒して新政権を立ち上げる力がない。完全に行き詰まり状態だ。」と語り、もし、国際社会がジュネーブで国際会議を開催するなら、アサド政権は、停戦を呼びかける可能性を示唆した。

またイランのロウハニ大統領が、ワシントンポストの記事において、「我々は協力してシリア問題に対処しなければならない。イランは、アサド政権と反政府勢力の和平推進に貢献する用意がある」と発言し、注目されている。

<反政府勢力は、停戦など頭にない??>

反政府勢力は、アサド政権に相当怒りを燃やしている。そこへアルカイダなどスンニ派イスラムの過激派グループが入りこんでいる。今やシーア派のアサド政権+イランに対するスンニ派の対決という構図にまで発展している。こうなると両者が和解することは、ほぼありえない状況となる。

昨日、シーア派でアサド大統領の一派、アラウィー派の人々が乗ったバスが、ホムス付近にしかけられた爆弾で爆破され、少なくとも14人が死亡した。戦闘上の要所ホムスが再び反政府勢力に押さえられたとの情報がある。

また昨日、トルコ国境の町でも反政府勢力とシリア軍が激しい戦闘状態となった。シリア国内の実際の現状をみれば、停戦はそう簡単には実現しそうにもない。

しかし、このまま停戦になり、化学兵器が処分されれば、何よりの解決となろう。来週、主が奇跡を起こしてくださり、停戦へとむかい、シリアの人々にも希望が与えられるような展開になることを願う。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。

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