曖昧?国際司法裁判所(ICJ)がイスラエルにジェノサイド停止命令 2024.5.28

EPA

国際社会には、国を対象とする国際司法裁判所(ICJ)と、個人を対象とする国際刑事裁判所(ICC)がある。

ICCのカーン主席検察官は、先週、裁判所に対して、ネタニヤフ首相とギャラント防衛相の逮捕状を請求した。この時、カーン主席検察官は、ハマスのトップシンワルら3人も同様に逮捕状を請求していた。

イスラエルの正式な首相と防衛相を、国際的にテロ組織を指定されているハマスの指導者らを、同等に並べたことから、イスラエルは激しい怒りを表明していた。

これに先立ち、南アフリカが、ICJに対し、イスラエルはガザでの停戦を即時停止するべきだとの訴えを起こした。ところが、南アフリカは、その後、訴えをイスラエルがガザのパレスチナ人を一掃しようとしているとして、即時停戦を要求する訴えに変えたのであった。

この件について、先週、公聴会が行われた。その結果、24日、ICJは、「ラファにおいて、パレスチナ人を全体、もしくは部分的にもその命(存在)を損なうような軍事攻撃や、その他のあらゆる行動を、直ちに停止することを命じる」と発表した。(原文は以下)

“immediately halt its military offensive, and any other action in the Rafah governorate, which may inflict on the Palestinian group in Gaza conditions of life that could bring about its physical destruction in whole or in part.”

これをどう理解するかだが、イスラエルは、これは、民間人に対するジェノサイドをもたらすような軍事行動は停止せよと言っているだけで、ハマスを対象にした戦闘そのものを停止するように命令しているものではないと判断し、戦闘は継続すると発表した。

しかし、ICJのこの判断をした裁判官のうち4人は、そうれはなく、すべての戦闘を停止するということだと反論したが、残り10人は何も言っていなかったとのこと。法律のことを、全て理解することは難しいが、要するに、ICJの命令は、曖昧であったといわれている。

www.timesofisrael.com/israeli-officials-icj-ruling-gives-leeway-to-continue-rafah-offensive/

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。