昨年12月の人質3人遺体は軍の誤爆・西岸地区米国人誤射も認めると表明:臭いものに蓋ができない国 2024.9.12

Left to right: Elia Toledano, Cpl. Nik Beizer, Sgt. Ron Sherman, taken hostage by Hamas on October 7. Their bodies were recovered by the IDF and returned to Israel on December 15, 2023. (Courtesy)

12月に遺体で発見された人質3人はイスラエル軍の誤爆が原因と認める

イスラエル軍は10日、昨年12月にガザで発見した、人質5人の遺体について、3人については、ガザ市での戦闘の際、一緒にいたハマスと共に軍の誤爆で死亡していたと公に認める声明を出した。

3人は、ニック・ベイツァールさん(19)、ロン・シャーマンさん(19)、エリヤ・トレザーノさん(28)

チャンネル12と13を通じて発表された詳細によると、昨年12月12日、IDFは人質2人の遺体を発見し、その3日後、すこし離れたところで、3人の遺体を発見したという。この時、ハマスはこの3人がイスラエルの空爆で死亡したことを示唆するビデオを配信した。

確かにこれに先立つ11月、イスラエル軍は、遺体発見地点近くへの空爆を実施していた。しかし、ベイツァーさんとシャーマンさんの体にはそれを示すような傷がなかったという。

この時点において、イスラエル軍は、2人についてはハマスに殺されたと伝え、3人についてはコメントしなかった。

その翌1月、この時点でもまだIDFは、3人が毒殺されたか、戦闘に巻き込まれて死亡したか、死因が特定ができないと家族に説明していた。

しかし、9月10日の夜のチャンネル12のニュースで、3人は、ハマスと一緒にいたことから、イスラエルによる空爆で一緒に死亡したと報じた。家族には先月のうちにその旨伝えられていたことがわかった。

www.timesofisrael.com/ex-hostages-mother-denies-idf-told-her-he-was-killed-in-gaza-airstrike/

西岸地区でトルコ系アメリカ人女性死亡・イスラエル軍が誤射を認めて遺憾を表明

(Courtesy of the Eygi family/International Solidarity Movement via AP)

先週、西岸地区で、トルコとアメリカ両方の市民権を持つアイセヌール・エイギさん(26)が、ベイタの交差点付近で、デモ活動中に、パレスチナ人数十人が、タイヤを燃やし、イスラエル軍に投石するなどして、イスラエル軍と紛争となった。

目撃者によると、紛争のピークが落ち着いてから約30分後、デモ隊が、その場から離れようとしていた時に、エイギさんが銃撃を受けて死亡した。

イスラエル軍から180メートルほど離れた位置である。エイギさんは、殉教者として、西岸地区で壮大な葬儀が行われた。

死因については、不明点もあるようで、捜査が行われていたが、10日、イスラエル軍は、IDFの誤射による可能性が高いと認め、意図してものではなかったと深い遺憾を表明した。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/us-activist-was-killed-in-west-bank-half-an-hour-after-peak-of-protests-washington-post/

www.timesofisrael.com/idf-regrets-indirect-and-unintended-fire-that-likely-killed-us-woman-in-west-bank/

石のひとりごと

イスラエルにとっては、非常に都合の悪い2件である。特に、エイギさんは、アメリカ国籍でもあるので、今後のアメリカとの関係にもヒビが入るリスクを伴う。

また、人質3人を友軍の誤射で死亡させた上に、今に至るまで真相が家族に告げられなかったことも、軍にとっては市民の信頼を失うリスクになる。

戦争中でもあるし、今開示しないという選択肢も、特に日本ではおおいにありそうである。しかし、イスラエルに、隠蔽がないとは言い切れないが、表面上とりつくろう、隠す、ごまかす、ということが、かなり少ないと思う。

問題は特に、徹底的に明らかにし、以後同じことが起こらないようにするためである。

これはやはり、全知全能、創造主とその律法、その贖い、赦しという基本的な“システム”*を持っている国だからではないかと思う。

失敗しても、それを悔い改めて、同じ失敗をしないように心に決めて、また新たに立ち上がっていけるという、確信があるのである。ここが、イスラエルと他国の違う一つの点かもしれない。*(注)神の前での法則であって、イエスの贖いを信じるものではない

先日、アメリカ在住のユダヤ人たちの話の中で、「日本人は、都合の悪いことから目をそらす傾向にある。だから解決がない」と言っているのを聞いた。

確かに、日本ではどうにも隠し事が普通であり、都合の悪いことを隠蔽する傾向が強い。外国人にそこまで見抜かれているということを、日本人たちは知っているかなと思わされた。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。