日本の外務省がガザ人道危機改善急務声明に参加:二国家共存支持を強調 2025.8.14

世界24カ国のガザ人道危機改善急務声明に参加した日本

ネタニヤフ首相がガザ制圧の方針を発表した後、EUと、日本を含む24カ国が、ガザでの人道状況の改善が急務であるとの声明を出していた。それについての日本外務省からの声明は、8月8日(金)の日付で、以下のようになっている。

1)現地時間8月8日(日本時間同日)、イスラエル政府が発表したガザ市の制圧等に関する計画の決定により、既に深刻なガザの人道状況が一層悪化することを強く懸念します。

全ての当事者に対し、交渉に立ち戻り、停戦と人質解放の実現に向けて誠実に取り組むよう改めて求めるとともに、今回の計画のような、「二国家解決」の実現に逆行するいかなる動きにも反対します。

2)ガザにおける壊滅的な人道状況の改善は急務であり、我が国として、イスラエルに対して、飢餓を含む深刻な人道危機を終了させるための実質的な措置を講じることを求めるとともに、国際人道法を含む国際法の遵守を改めて強く求めます。

3)我が国としては、当事者間の信頼醸成と交渉を通じた、イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家が平和かつ安全に共存する「二国家解決」を一貫して支持してきており、その実現のため引き続き取り組んでいく考えです。

www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/25/pageit_000001_02233.html?fbclid=IwY2xjawMIvBlleHRuA2FlbQIxMABicmlkETF5MnNCOVFUZ3BPcXpHeWZDAR46zPcMpZH5GrLjaqqvYr_yxpy90u1-PcP64CqGH4ZPlP8uCqtKKrXmiq3hSQ_aem_kV-627mfZN7wTuirK5wS0g

日本はパレスチナ国家を承認するか

パレスチナ国家承認について、日本はまだ態度を明確にはしていない。アメリカへの配慮があると言われている。

しかし、基本的に、二国家解決は強調しているので、時期はわからないが、いつかは、パレスチナ国家を認めるべきという姿勢ということである。以下は、岩屋外相の記者会見(7月29日)

【時事通信 千葉記者】パレスチナの関係でお伺いします。フランスのマクロン大統領が、パレスチナを国家として承認することを表明し、今日、国連での会合でも各国に呼びかけを行っていると思います。G7で国家承認は初めてとなりますが、この動きをどう見ていらっしゃるか、また、日本としての立場について改めて教えてください。

【岩屋外務大臣】我が国は、御承知のように「二国家解決」、これを一貫して支持してきております。これに一切変わりはございません。独立国家樹立に向けたパレスチナの人々の希望を理解して、これに向けたパレスチナ人の努力を、我が国は支援してまいりました。

この観点から、パレスチナをめぐる情勢や国際的な議論については、御指摘の国家承認の件も含めて、高い関心を持って動向を注視しております。

現在、ニューヨークで行われている国際会議におきましては、我が国は、政府代表を送ってノルウェーと共に、パレスチナの経済的自立性についての分科会の共同議長を務めているところです。
和平の進展を後押しする観点から、パレスチナの国家承認につきましては、その適切な時期や態様も含めて、引き続いて、総合的な検討を行っていきたいと考えています。

また、我が国は、パレスチナ支援の独自のイニシアティブとして、私(岩屋大臣)が参加した、この7月11日のマレーシアでの、私(岩屋大臣)が議長を務めた「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合」(CEAPAD)の閣僚級会合を開催いたしました。

ここでは、人道支援、復旧・復興支援、パレスチナ自治政府(PA)の改革支援のための行動計画を採択したところです。今後、そのフォローアップも行いながら、引き続き、パレスチナ人の努力をしっかりと、我が国として、支えていきたいと考えております。

www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/kaikenw_000001_00153.html

石のひとりごと

アメリカに気を使わないといけないので、パレスチナ国家承認にはまだ踏み込んでいないが、二国家共存指示を強調しているということは、結局、いつかは、パレスチナ国家を承認するということである。

最近の世界は交渉に次ぐ交渉である。私たち日本人にはない文化で、難しいと思われる交渉。日本政府や外務大臣たちが、国際社会の中で、国益にかなう決断をするよう祈りで支える必要がある。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。