新変異株オミクロン:イスラエルでも1人・ベネット首相が警鐘 2021.11.27

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新変異株オミクロン株:イスラエルで1人感染・2人疑い

南アフリカでみつかった新しいコロナ変異株B.1.1.529 が、26日、イスラエルでもみつかった。検出されたのは、マラウイ(東アフリカ)から帰国した人からであった。このほかに2人が感染が感染の疑いとされ検査中である。3人ともワクチン接種を完了していた人であった。

この変異株が最初に発見された南アフリカからの情報によると、デルタ株より感染力が強く、既存のワクチンを弱体化させる可能性がある。南アフリカでは、先週までは、新たな感染者数が1日200人程度であったが、25日の1日だけで2465人を記録したという。いきなり10倍である。

しかし、南アフリカによると、感染者は今のところ、無症状で、どの程度重症化させるかは不明だという。しかし、WHOは、26日、この新変異株を、デルタ株と同じ、警戒レベルの高い、「懸念される変異株」に分類すると発表。「オミクロン型」と名付けた。

www.timesofisrael.com/it-has-a-name-new-covid-variant-of-concern-dubbed-omicron/

ファイザー・ビオンテック社は、自社のワクチンがオミクロン株にどう反応するかの調査をはじめた。すでに、オミクロン株には、30以上の変異がみられ、既知のコロナ株とかなり違っていることはわかっている。

ファイザーは、正確な結果が出るまでに、2週間はかかるが、オミクロン株に対応したワクチンを6週間以内に開発し、100日後には、出荷するとの見通しを発表している。

www.timesofisrael.com/biontech-says-it-needs-2-weeks-to-determine-vaccines-effectiveness-against-omicron/

*オミクロンとは(Wikipedia まとめ)

古代ギリシャ文字の15番目は、「O」で、オーと発音する。最後24番目のオメガ「Ω」もオーである。これを区別するため、2-3世紀ごろ、前者を小さいオーという意味で、「オミクロン」とし、後者を大きなオー「オメガ」と呼ぶようになった。

またギリシャ文字には、数値があるが、オミクロンの数値は70である。何か預言的要素がある??とは考えすぎか。。。

世界の過敏な対応:株価にまで影響

オミクロン株がいったいどのぐらいのスピードで感染するのか、重症化はどれほど深刻化するかなどのデータは、まだ出揃っていない。

しかし、世界では、この2年近くのコロナ・パンデミックで、500万人以上が死亡しているせいか、特に欧米諸国が過敏ともいえる反応を見せた。

まずイギリスが、まだWHOの判定が出る前にすでに、南アフリカなどアフリカ6カ国からの入国を停止し、29日以降は入国後ホテル待機とした。

アメリカも29日から、南アフリカへの渡航制限を開始する。ヨーロッパ27カ国も南アフリカへの渡航を禁止した。このほか、カナダ、ロシアも渡航の制限を始めた。

これにより、世界の投資者が、再びのロックダウンを警戒して、航空会社などから手を引き、ズームなどコロナで逆に伸びた会社株を買うなどの動きが重なり、世界の株価を揺るがす事態にもなった。今後もまだ変動の可能性が警戒されている。

こうした世界の急激な動きに、南アフリカは、まだそこまで明らかではないのにと困惑を訴えている。

しかし南アフリカのワクチン接種率は35%にとどまっている。アフリカ全体でみれば、ワクチン接種を終えた人は6%に満たない。世界の懸念は十分理解できるわけである。

www.timesofisrael.com/stocks-sink-on-new-covid-variant-dow-loses-950-points/

www.reuters.com/world/africa/exclusive-south-africa-delays-covid-vaccine-deliveries-inoculations-slow-2021-11-24/

ベネット首相が強い警戒表明

コロナ閣議
Haim Zach (GPO)

ベネット首相は、第4波を、ロックダウンせずに乗り越えた首相である。しかし、今回は、「イスラエルは嵐の前にいる。先週、行った第5波に向けた訓練が、すでに生かされる事態だ。」と、強い警戒感を表明した。

ベネット首相は、南アフリカ周辺国(南アフリカ、レソト、ジンバブエ、モザンビーク、ナミビア、エスワティニ)を赤信号国に指定した。イスラエルでは、赤信号国の指定は、6週間ぶりである。

これにより、これらの国からの非イスラエル人の入国は停止された。これらの国から帰国するイスラエル人については、政府指定の施設で10日間隔離し、PCRを2回受ける。検査したくない人は2週間の隔離となる。

ベネット首相は、この変異株を検出するPCR検査キット1000万回分の準備(購入)を指示した。オミクロン株は、変異点が多すぎるために、これまでのPCRに反応しない点が1つ確認されている。逆にこの反応しない点をもって、オミクロン株かどうかがわかるとのこと。

イスラエルでは、現時点(25日データ)で、1日の感染者が543人(陽性率0.7)、入院者163人、重症120人で、このうち85%がワクチン未接種者となっている。気になる点は、R値、実効再生産数(1人が何人に感染させるか)が1を超えている点。25日のデータで1.08となっている。

保健省は、R値が1.2を超え、1日の感染者が1000人を超えてくると、新たな行動制限が必要になるとの予測している。

www.timesofisrael.com/israel-detects-first-case-of-new-highly-mutated-covid-19-strain/

上記決断の後、ベネット首相は27日夜にもコロナ閣議を行い、必要な規制の検討を行った。結果、それまでより厳しい、北部意外のアフリカ大陸のほとんどの国への渡航を禁止すると発表。

ザルカ・コロナ担当は、今後は、アフリカ以外の国、たとえばトルコへの渡航を禁止する可能性もあると語っている。

ベネット首相は記者団に対し、「今後は最悪の事態に備えていく。」と語った。しかし、現時点では、まだ国内のロックダウンの計画はない。

www.timesofisrael.com/israel-bars-travel-from-most-of-africa-in-effort-against-worrying-new-covid-strain/

石のひとりごと

コロナでまた世界はひっくりかえるのだろうか・・・もう疲れた・・というのが世界一致の思いだろう。

ただ、イスラエルは、危機に関してはプロフェッショナルである。本物の危機は、するどくみわけている。そのイスラエルが本気で警戒するなら、その危機の可能性はかなり高いかもしれない。無論間違いということもある。今、天地を支配しておられる神に、あわれみを祈ろう・・

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。