<イスラエルで最初の犠牲者はホロコーストサバイバー>
イスラエルで初の新型コロナ犠牲者、アリエ・エベンさん(88)は、ホロコーストサバイバーであったことがわかった。
エベンさんは、建国間もない1949年に、ハンガリーからイスラエルへ移住した。ハンガリーでホロコーストを経験し、イスラエル建国の苦難のほとんどを経験しながら家族を立ち上げた人である。4人の子供達と18人の孫、1人のひ孫がいた。アリエさんが、新型コロナに感染していたので、家族は、最後の時に近くにいることができなかった。家族たちはそのことを悔いていると語っている。
<コロナ危機のポーランド:義なる異邦人を助けるユダヤ人>
エルサレムのホロコースト記念館、ヤドバシェムは、ホロコーストの時代に、自分や家族の命をリスクにおいてでもユダヤ人を助けた異邦人をさがしだす作業を、今も続けている。毎年500人近くがみつかり、今では、2万7000人が「義なる異邦人」として感謝、登録されている。
犠牲者が最も多かったポーランドには、やはり世界で最も多くの義なる異邦人がみつかっている。ホロコーストサバイバーと同様、この人々も今は皆、80−100歳という高齢になっている。
ポーランド在住のユダヤ人のジョニー・ダニエルさんは、「深みからの記憶」というグループをたちあげ、高齢の義なる異邦人たちを支援する働きを行っている。これまではタクシーの提供をしてきた。
しかし、今、新型コロナの影響の影響で、義なる異邦人たちも自宅から出られなくなったことを受けて、食料などを届ける働きを開始した。今はまだ20人にサービスを提供しているが、まもなくリストにある40人全員に食料を届ける計画だという。
ポーランドの新型コロナ感染者は今のところ、約200人で死者は5人。感染のリスクを避けるため、食料を搬送する車はよく消毒し、食料はドアの外に置く。いつもなら、ハグをしたりキスもするが、今はできないとのこと。
寂しい日々を送っている高齢の義なる異邦人たちのために、電話をかけて話をするという働きもはじめた。
サービスを受けているクリスティナ・コワルスカさん(88)は、「外に出て感染する心配がないので助かる。信用できる人がいるといことが、なによりのことです。」と語っている。
ダニエルさんによると、運営は経済的に苦しいとのこと。しかし、「彼らは、ユダヤ人が必要な時に立ち上がって助けてくれた。今、彼らに必要があるのだから、今度は私たちが立ち上がる時です。」と語る。
<石のひとりごと:新型コロナ肺炎の最も大きな悲劇>
新型コロナ感染で、最も厳しい試練の一つは、感染して死んでいく人が、最後のときと家族と過ごせないということだ。家族にしても、愛する父や母のそばにいることもできず、遺体になった後も、感染しているということで、病院がそのまま棺桶に入れてしまい、家族が直接触れることはできない。
数日前まで、一緒に家で隔離していたのに、あれよあれよというまに引き離されて、そのまま、永遠の別れである。筆者も高齢の家族とともにいるので、これを思うと、なにがなんでも、コロナを持ち込まないようにしなければと緊張する。
医療崩壊に陥っているイタリア北部では、高齢者3人に1人が入院している。医療を受けられず(肺炎は非常に苦しいので、これはあまりにも残酷)、家で一人で、苦しいまま死亡している人もいるらしい。死亡した後は、遺体があまりにも多いので、軍隊が移送している。教会に棺桶がずらっとならんでいる様子が報じられていた。イタリア人は、「これは戦争だ」と言っていた。
www.israelnationalnews.com/Articles/Article.aspx/25411
日本では、不思議に今も感染や死者も少ないが、爆発感染はあっというまに起こる。今は、嵐の前の静けさでなければよいがと思う。
また今、高齢者施設が閉鎖になっているので、デイサービスに行けなくなっている独居老人たちが、遺体になって発見とか、コロナウイルスに関連する副産物のような状況も、今後出てくるのではないだろうか。私たちの間でも、ポーランドのユダヤ人たちのような働きが、必要になってくるかもしれない。