悪質極まりないハマスの心理作戦:殺害された人質からのメッセージ映像公開 2024.9.5

Carmel Gat and Alexander Lubanov, screenshot from video (photo credit: Screenshot/Hamas Telegram)

ハマスが殺害した人質からの生前のメッセージを公開

ハマスは、殺害された人質6人、オリ・ダニノさん、エデン・イエルシャルミさんに続いて、4日、カーメル・ガットさん(29)と、アレキサンダー・ラブロフさん(32)の生前のメッセージも公開した。

カーメルさんは、家族が生きているだろうかといいながら、家族への愛を呼びかけている。

実際、カーメルさんの母親キネレットさんは10月7日に殺害されていた。兄アロンさんは、3歳の娘とともになんとかハマスから逃れていた。その妻やヤルデンさんは、54日間人質となったが11月に戻っていた。カーメルさんは、これらのことを知らないまま殺害されたことになる。

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ラブロフさんには、幼児の子供と、2人目の子をカーメルさんが、拉致された後に出産した妻、ミハルさんがいる。その家族にむかって、強気生きてほしいと語り、政府には、爆撃をやめて、私たちを家に帰してほしいと訴えている。

またイスラエル国民には、政府への抗議デモを続けるよう、呼びかけている。

www.jpost.com/israel-hamas-war/article-818787

こうしたビデオとともに、ハマスは、今後、イスラエル軍が近づいてきたら、人質をさらに殺すと言っているわけである。

一方、イスラエル軍は、ラファで6人の遺体が発見されたトンネルを公開した。その入り口は、子供部屋のようで、ディズニーの絵や、ぬいぐるみもころがている。

ハマスは同胞の子供たちの犠牲もなんとも思っていないということである。

石のひとりごと

殺しておいて、その後にその人の生前の映像を送るという、まったく家族の心を破壊する以上の行為である。また、その人が、死んだ後にも政府への反発を呼びかけている。家族にとって、イスラエル国民にとって、そしてネタニヤフ首相にとって、全く耐え難い痛みだろう。

ハマスにとって、イスラエルとの戦いの目的は、追放して領土を取るという政治的なものではなく、イスラエルをとことん苦しめながら亡き者にするということを表しているのではないだろうか。

その目的のためには、パレスチナ人自身の子供も犠牲にするのである。これをサタニック以外になんというだろうか。

ベネット元首相が、なぜあなたがたは、パレスチナ人と2国家共存しないのかと聞かれ、「それはできない。彼らは私たちを殺しにくるから」と言っていた。

イスラエルは何度もパレスチナ人との共存をこころみたが、その結果、いつもイスラエル人が殺される結果になった。ベネット氏の言い分にうなずかされた。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。