今年もイスラエルの秋の例祭シーズンが始まる。新年祭(聖書的には角笛を吹き鳴らす日)に始まり、ヨム・キプール(大贖罪日)、仮庵の祭と続く。大型連休でもあり、海外旅行に出かけるイスラエル人も多いが、政府からじゃ今の所、トルコは渡航要注意との警告が出ている。
イスラエル国内の日程とだいたいの動きは以下の通り。
1)ローシュ・ハシャナ(新年)ー9/20-22 安息日も入れて23日まで3連休
2)ヨム・キプール(大贖罪日)ー9/29-30 断食する人は多いが、家で寝る日と決めている人も多い。超正統派は牛の代わりに鶏を捧げる儀式を行う。
3)スコット(仮庵の祭)ー10/4-11、最終日の10/11は、ホシャナ・ラバ(仮庵最終日)で 柳をふって残っている罪を捨て去る儀式を行う。
4)シムハット・トーラー(シェミニ・アツェレート)ー10/12
*この後、10月13日が再び金曜なので、安息日が続く。このため、社会が通常運営に戻るのは、10月15日(日)ということになる。この時期、学校は休みで、官公庁等も開いたり閉まったり。バスも削減運転で、これからイスラエルは、1ヶ月近く、しばらく祭日気分の日が続くことになる。
<悔い改めと赦し合いの季節>
秋の例祭は、実は、「新年」ではない。本来の新年、つまり1年のうちの第一の月は、今ではなく、過越の祭のある春頃である。秋の例祭があるのは第7の月でありため、聖書は「新年」ということばを使っていない。
現在に至る「新年」の概念は、神殿崩壊後のラビ的ユダヤ教になって以来と思われるが、今ではすっかり定着し、日本と同様、家族、親族がそろって”縁起の良い”「魚の頭」を食べたり、甘いはちみつとりんごなど、甘いものを食べて”翌年”の祝福を願うまさに「新年」になった。
しかしながら、レビ記23章で、聖書が示す秋の例祭のテーマは、「神に会う」ということである。
秋の例祭の最初、つまり「新年」と呼ばれる日には、角笛を吹くよう命じられている。これは、「もうすぐ主が来られる。自分を振り返り、罪があれば今のうちに悔い改めよ」という呼びかけである。
ユダヤ教では、神の前に出る前に、まず傷つけた相手に謝罪し、人間どうしの和解が必須だと教える。それができてはじめて、神の前に出ることができるというのである。
この10日後にヨム・キプールが来る。かつてエルサレムに神殿があったころは、この日に、大祭司が至聖所に一人で入り、罪のあがないをした。そうして、神の審判を受け取ったのであった。一般的なユダヤ人たちの中には、”来年”がどんな年になるのかの判決が出ると考える人もいる。
そのヨム・キプールの4日目から、7日間の仮庵の祭りが始まる。この仮庵は、神に赦された者だけが、天幕の中で、神と共に親しく過ごす”婚礼の週”とされている。
その最終日のホサナ・ラバの日、ユダヤ人たちは、この日までに残っていた罪はすべて赦されるとユダヤ教は信じる。敬虔なユダヤ教徒は、この日、オリーブ山に行き、柳の枝をふりつつ、「生きた水」である主を呼び求める。
その翌日、シムハット・トーラーとなり、神ご自身でもある聖書を受け取ったことを喜び踊る日、シムハット・トーラーになる。ラビは、これこそ最終的な解放であり、最高の喜びの時だと語る。
この流れは、ユダヤ教ででもキリスト教も、終末の出来事を主が示したものととらえている。双方とも、これから世は混乱に向かい、最終的な裁きにむかっていくが、その前にメシアが来て、多くの者を救うと考えている。
これについて、イエス・キリストを信じないユダヤ人はメシアが初めて来ると考えているのに対し、クリスチャンたちは、前に一度来たキリストがもう一度来る、「再臨」だと信じている。再臨する地はオリーブ山である。
*CGNTVオリーブ山便りでの秋の例祭の特集:ラビの終末論含む:
<スリホットで嘆きの壁は連日超満員>
スリホットというのは、ヘブル語で赦しという意味である。アシュケナジ(欧米系)ユダヤ人は、この16日の安息日あけから、嘆きの壁やシナゴーグでの罪の悔い改めを本格的に行うスリホットの祈りを始めた。16日夜、嘆きの壁は超満員となった。
嘆きの壁でのスリホットは、このままヨム・キプール前日まで続けられるが、当然、最終日は一番込み合う。滑り込みの悔い改めである。なお、スファラディ系のユダヤ人は、エルルの月の初めから、つまり一月近くスリホットをやっている。
www.chabad.org/library/article_cdo/aid/984606/jewish/Sukkot-Simchat-Torah.htm