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右派政権がイスラエルをとりまく治安情勢を悪化させている?
昨年末に発足したネタニヤフ政権は、極右政党含む強硬右派政権で、司法制度改革案で、行政が司法を支配する可能性も含むような司法制度改革案を強硬にすすめていることはお伝えしている通りである。
最終的には、国会が最高裁がネタニヤフ首相(汚職刑事訴訟中)に解任を命じる権利を認めないとする法案を可決。以後、ネタニヤフ首相が、かなり前に出てくるようになった。国民の司法制度改革への反発は高まった。
反発は、イスラエル軍予備役兵(ベテラン将校たち)の間にも広がり、政府の招集に応じないと表明する予備役兵が、相当数出てきて、防衛力にまで影響が出始めた。
このため、ガラント防衛相は、この司法制度改革を、いったん停止しなければ、国を危機に追い込む懸念があると、ネタニヤフ首相に進言。これにより、ネタニヤフ首相は、ガラント防衛省を解任すると発表した。
これにより、反対デモに参加するデモは大幅に増えて60-70万人にまで膨らんだ。ネタニヤフ首相は、しぶしぶではあったが、司法制度改革の最初の法案審議をいったん保留にすると発表した。
そこで、ヘルツォグ大統領が何度か、妥協に向けて、両サイドの交渉を大統領官邸で試みたが、これが変化をもたらすことはなかった。
また、ネタニヤフ首相が提案したのは、実際には延期を意味するだけであり、法案の完全な停止ではないことが明らかになった。またその関連法案は、続けて国会で論議されているとも報じられた。このため、政府への不審は増大し、先週土曜夜には、13回目となる反政府デモが各地で行われた。
こうした中で迎えた今の治安上の危機である。ハマスは、イスラエルの治安部隊がアルアクサモスクに突入したことを口実に、ガザとレバノンからもミサイル攻撃をしている。
以前にもアルアクサモスクに治安部隊が入ったことで、ガザとの戦闘になったことから、今回、本当に突入の必要はあったのかといった議論も出始めている。
また民主主義が危ういと指摘される中で、右派政権が強硬な動きに出ているとも見えることから、今後、国際社会のイスラエルへの非難も大きくなりつつある。
こうした中で、イスラエルが熱い視線を向けていたサウジアラビアが、イスラエルの宿敵イランと国交を正常化に向かっているわけである。
強硬右派政権がイスラエルを危機に、追いやっていると指摘する記事もある。
右派政権がユダヤ教過激派を熱くしている?
治安や国際情勢において、新政権がイスラエルに暗い未来をもたらしているとの見方が出ている中、国内では、ユダヤ教律法を法律に組み込む動きがみられたり、過激ユダヤ教徒によるキリスト教など少数派への暴力が増加している。強硬右派ユダヤ教政権であるために、過激なユダヤ教徒たちが、勢いづいていることが懸念されている。
1)病院内に種あり食品を禁止する法律:ハメツ法
今のネタニヤフ政権は、強硬右派政党とユダヤ教政党に支えられている。このため、ユダヤ教政党からは、イスラエル国内で律法を守ることを義務付けようとする動きがある。その一つがハメツ法案である。
ハメツは、発酵した普通のパンなど種ありとされる食品で、ユダヤ教徒は、過越の例祭期間中、食べても家の中にも持ち込んではならないとされる食品のことである。国会は3月28日、全国の病院にハメツを持ち込むことを禁止することを許可する法令を、賛成51、反対46で可決した。
しかし、病院に入院している人々はすべてが、ユダヤ人ではないし、ユダヤ人でもそこまで律法を守っていない人もいることから、この法律には苦情が出た。
病院の方でも実際には、入り口で、持ち物検査をしてハメツを出させるようなことはなく、過越の期間中、訪問者は、所持しているすべての食品を入り口で預けて、帰る時にはそのまま返すという形になっている。警備員がバッグをチェックすることもないので、いわばこれまでとなにも変わらない感じである。
このため、ユダヤ教団体からは、この法律だけでは、警備員が、入り口でかばんの中を検査することができず、病院をハメツから完全に守ることはできないとして、さらなる強化をするべきとの訴えも出ている。
病院におけるハメツ問題については、これまでからもずっと議論になってきたとのことだが、右派政権になってから、法律として可決されたものである。国民に受け入れられるかどうかは別として、右派政権が、イスラエルをよりユダヤ教の国としての定義づけをすすめようとする一例である。
2)過激ユダヤ教徒によるt国内キリスト教会への攻撃増加
今年に入ってから、国内のキリスト教徒の牧師、神父、キリスト教系レストランなどが襲われたり、エルサレムのクリスチャンの墓地が破壊行為を受ける事件が多発している。暴力行為に出ているのは、若い過激ユダヤ教徒である。
以下のニュース番組では、エルサレムのクライストチャーチ、シオンゲートに近い、マリア永眠教会(カトリック・ベネディクト会)の神父が、キリスト教徒を偶像礼拝者、汚れたものとして暴力をふるわれることが急増していると語っている。
マリア永眠教会のニコデムス・シャナベル神父は、今の政権が、過激右派からなる政権なので、過激ユダヤ人ユースが、いまこそとばかりに、イスラエルの異教徒たちへの攻撃を加速させていると語っている。
石のひとりごと
中東・世界で戦争の気配が進む中、イスラエルは、よりユダヤ的になり、世界に嫌われる様相になっている。
やがて世界が非聖書的な政府に統治されるようになり、イスラエルが攻撃されるというような、まさに聖書が予言する将来の形に近づいているような気がする。