フランス、イギリスなどG7諸国が、次回国連総会で、パレスチナ国家を承認すると表明して以来、イスラエルでは、強硬右派たちが、これを阻止しようとする動きに出ている。

(Photo: Shalev Shalom)
先月、強硬右派の宗教シオニスト政党のスモトリッチ財務相が、エルサレムと、西岸地区のユダヤ人の町、マアレイ・アドミムの間に位置するE1と呼ばれる地域に、ユダヤ人の家屋3412戸の建設を許可する計画、E1プロジェクトを表明し、物議となった。
これが完成すると、マアレイ・アドミムが拡大されることになり、人口は現在、3万8000人のところ、1万2000人から1万5000人増えることになる。しかし、これが実現すると、西岸地区が南北に分断され
ることになり、パレスチナ国家設立はおよそ不可能になる。
スモトリッチ財務相、ベン・グビル治安維持相は、最終的には、西岸地区をイスラエルに併合すると言う野望がある。
www.timesofisrael.com/netanyahu-to-sign-e1-framework-agreement-in-maale-adumim-this-week-report/
これを受けて、9月2日(火)、UAEが、「西岸地区の併合は、レッドラインだ」として、もしそんなことになれば、アブラハム合意は崩壊すると強く警告した。

アブラハム合意とは、イスラエルとUAE、バーレーンは、トランプ大統領の仲介で、経済技術などで協力し、共に発展して行こうとするもので、2020年に実現した合意である。UAEがこの合意に言及したことは世界にも大きく報じられた。
しかし、その翌日3日(水)、スモトリッチ経済相は、西岸地区の82%を併合する案を表明。今国際社会が、西岸地区にパレスチナ国家を設立しようとしていることの危険性を訴えた。パレスチナ人の地域はラマラなど点在する18%ということになる。(西岸地区にいるパレスチナ人は約310万人、イスラエル人は50万人以上)
スモトリッチ財務相は、「ヨルダン川西岸地区」ではなく、聖書からの名称である「ユダヤ・サマリヤ地区」を使い、この地域をイスラエルの主権下に置く時だと表明した。国会での審議では、これに賛成が71、反対が13だった。
こうした中、9月7日(日)、サウジアラビアのビン・サルマン皇太子が、UAEの動きを称賛する声明を出した。
それだけでなく、もし、西岸地区を併合する動きが見られる場合、イスラエルとサウジアラビアの間で、進んでいる協力にも影響すると表明した。
Times of Israelによると、サウジアラビアのビン・サルマン皇太子は、先週、UAEのモハンマド・ビン・ザイード大統領と、リヤドで会談していたという。
ネタニヤフ首相とトランプ大統領は、アブラハム合意の拡大を目指しており、特に、サウジアラビアが入ることを強く願っている。しかし、サウジアラビアは、加盟の条件として、パレスチナ国家設立をあげており、合意から5年たった今も、まだ加盟する様子はない。
今回の動きで、サウジアラビアの加盟はさらに遠のいたとみられる。こうした中だが、ネタニヤフ首相は今週、11日に、西岸地区のE1地区を視察するとともに、マアレイ・アドミムを訪問する予定になっている。
www.timesofisrael.com/netanyahu-to-sign-e1-framework-agreement-in-maale-adumim-this-week-report/
