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ハマスがイスラエルの提案を拒否:完全停戦要求
4月7日に始まり、現在まだ継続されているカイロでのハマスとイスラエルの交渉(仲介はアメリカ、カタール、エジプト)。イスラエルの提案にハマスはなかなか返事せず、イランのイスラエル攻撃を待っているのではないかと言われていた。
イランの攻撃が始まる直前で、テルアビブやエルサレムでは、人質返還や、政府打倒の大規模なデモが行われていた13日(土)午後7時、ハマスは、イスラエルが出していた、一時的停戦とその間の人質解放という提案を拒否すると言ってきた。
www.timesofisrael.com/hamas-spurns-latest-hostage-deal-proposal-demands-permanent-ceasefire/
その後、ハマスが、仲介者を通して、要求を出してきた。それによると、第一段階として、イスラエルがまず戦闘を完全に終わらせ、ガザ市街地から完全に撤退し、ガザ北部の住民を戻らせる。この間の人質解放はない。ハマスはこの間に、すべての人質を確保するとしている。
その6週間後に第二段階として、女性、子供、高齢者人質1人につき、30人のパレスチナ囚人を釈放する。女性兵士の人質については、1人あたり50人で、終身刑のテロリストもその中に含まれるとしている。
その6週間後に第三段階として男性兵士と男性、兵士の遺体などを返還する。ここで釈放するパレスチナ人の数は明らかにはされていない。
明らかにこれまでよりも要求が増えている。これに対するイスラエルのコメントはない。
ネタニヤフ首相は、ハマスがイスラエルのオファーを拒否した時点で、「シンワルは交渉する気がないようだ」との認識を表明していた。
ガザ北部へ戻ろうとする避難民群衆
こうした中、南部へ避難しているガザの人々の間で、女性と子供、50歳以上の高齢男性については、北部のガザ市などへ帰れるようになったとの噂が広がり、群衆が海岸沿いの通りを北部に向かう様子が報じられた。
しかし、イスラエルは、まだ通過を認めていないと言っている。イスラエルは、検問所に近づいてくる市民たちに、ガザ北部はまだ戦闘状態が続いていて危険であることや、身を守るために、強行的に通過を試みることもしないよう、警告を出した。
現地の混乱は想像を絶する。AFPのインタビューによると、ガザの人々の中には、イランの攻撃が遅すぎたし、攻撃もかるすぎたと不満を語る人もあったとのこと。
ハマスやガザ市民は、イランがもっと早くにハマスの応援に駆けつけると思っていたようである。
また、イスラエルがイランとの戦いに手を取られて、ラファへの侵攻を諦めると期待した人もいた。
イスラエルはガザで戦闘続行:イスラム聖戦15人死亡
イランとの問題、ハマスとの交渉困難な中、イスラエル軍は、ガザ中央のネツアイニム回廊やその周辺での戦闘を続行している。
15日、イスラエル軍は、ハマスとイスラム聖戦が使用している建物を攻撃。武器やロケット弾発射施設を抑えた他、イスラム聖戦戦闘員15人が死亡した。
www.jpost.com/israel-hamas-war/article-797200
石のひとりごと:ガザとイランの間で
イスラエルは今、イランへの強力な攻撃を検討している。しかし、それと同時にラファへの侵攻もできるのだろうか。
イランを放置することはできないと思われるが、同時に、ハマスとの交渉が頓挫に近い状態にあるとするなら、人質奪回は、もはやラファへの軍事侵攻しかなくなる。
しかし両方を同時進行でできるのか。しかも、来週22日からは過越の祭りもはじまる時である。イランが、イスラエルへの直接攻撃に踏み切った際、治安専門家のアモス・ヤディン氏は、「シンワルの勝利になる」と言っていた。
イスラエルが直面するジレンマは、かなり深いとみられる。