イスラエルでは16日日没からハヌカの祭りが始まった。エルサレム中心街では、巨大な電動式ハヌキヤ(9本枝のろうそく)にクレーンに乗ったラビが毎夜、一本づつ点火している。
町には、カラフルなスフガニヨット(揚げパン)が並び、学校や、公民館などでは、子供たちのための楽しいイベントが行われている。
昨夜は、ネタニヤフ首相が海外メディア、記者らを集めて、ハヌキヤに点灯するという毎年年末恒例の催しが行われた。
イスラエルでは、2015年は新年ではないし、クリスマスも祝わない。しかし、イスラエル在住の外国人記者らに配慮して、毎年こうした催しが行われるのである。
イベントでは、ハヌカを祝うとともに、政府プレスオフィスとネタニヤフ首相から、クリスマスの祝辞と新年の挨拶が述べられた。
1)テロの状況と治安部隊の活躍
イスラエルでの平和なハヌカの背景には、相変わらず治安部隊の活躍がある。
先週金曜、エルサレムとベツレヘムの間の60号線で、パレスチナ人が車内にいるイスラエル人7人に酸性物質をかけて、負傷させた。母親とともに車内にいた小さな女の子3人も手足に負傷している。犯人は治安部隊に撃たれて身柄を確保された。
諜報機関は、15日、イスラエル領内に潜んでいたテロ分子を5人を逮捕していたことを明らかにした。そのうちの一人ヤスミン・サアバン(31)は、西岸地区のジェニンの住人で、妊娠と偽って、医療目的で許可を得てイスラエルに入り、テルアビブで自爆テロを計画していた。
16日、パレスチナ人の15才少年が、エルサレム南部グッシュ・エチオンのヒッチハイクポイントで、大きな包丁を持っているところを未然に発見され逮捕。少年は、「シオニスト」を殺そうと思ったと自供している。
16日、過激派はパレスチナ人だけではない。ユダヤ教過激派グループ・レハバのメンバーが、その指導者とともに、各地で計9人逮捕された。諜報機関の10ヶ月にわたる調査の末の逮捕だったという。
このグループは、今月初頭、ユダヤ人とアラブ人が共学する学校に放火した3人組が所属していたグループで、極端なユダヤ主義カハネ(1990年代に暗殺された指導者)を信奉している。
アラブ人、パレスチナ人に対するテロを計画していたもようだが、逮捕された者たちに、反省の様子は全くない。http://www.jpost.com/Israel-News/Head-of-Jewish-extremist-group-Lehava-arrested-with-9-others-384787
2)深刻:イスラエルの貧困問題 http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4604261,00.html
国家保険機構などの調査によると、2013年の貧困者率は、2012年から若干下がったものの、18.6%だった。人数でいえば、総人口825万人中、160万人が貧困線以下の生活をしている。つまりほぼ5人に1人。
貧困者は主には子だくさんのアラブ人とユダヤ教正統派家族だが、最近うなぎのぼりの家賃、福祉カットなどで、一般ユダヤ人家庭でも、収入より出費の方が多い人が増えたという結果になっている。
特に高齢者では、年金をもらっているのだが、家賃と医療費を払ったら食費が残らない。慈善事業の食料配布に頼らざるをえなくなっている。食料配布場では、とりあいのようになって食料を持って帰るという。http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4605291,00.html
* アラブの村にとらわれるユダヤ人女性たち http://www.israelnationalnews.com/News/News.aspx/188739
仕事がみつけにくい地方の貧困も深刻だ。最近、問題としてクローズアップされたのが、ベエルシェバなどの地方の貧困家庭の若いユダヤ人女性が、ベドウインやアラブ人男性の甘い言葉とプレゼントにつられて、男性らの村に引き込まれているケースである。
女性たちは、最初男性たちはユダヤ人だとだまされて、恋愛関係になり、村についていく。するとそのまま麻薬中毒にされて売春せざるを得なくなり、家に帰れなくなるのである。そういうユダヤ人女性が全国で2万人はいるとみられている。
女性たちは、一応は自分の意志で男性について村に入り、自分の意志で、もう家には帰れないと判断しているため、法的に救出することは難しい。まずは女性たちが自分で解放は可能だと知らなければならない。
救出団体は、若い女性たちに「ばらの花によるテロがある」と警告する一方、被害女性たちを救出する活動を行っている。これまでに350人を救出したという。
平和に見えるハヌカの背景にも様々な課題が潜んでいる。イスラエルの貧困家庭の若い女性たちを覚えてとりなしをお願いしたい。