全国で発生した山火事は、今週末、あらたに186カ所で出火したが、スーパータンカーがアメリカから到着したこともあり、現地時間で土曜夜までには、おおむね鎮火した。
Yネットによると、土曜夕方の時点で、特に被害が大きかったハイファでは、ビル計175棟が焼け、アパート1784室、4832人が被害を受けた。このうち、77棟、527室が居住不能と判定され、1616人が、家を失った。
正確な数は不明だが、エルサレム周辺でも家や経営していたレストランが全焼した人々がいる。
負傷者は、救急隊によるとハイファと、エルサレム近郊マアレイ・アドミムから約180人で、煙を吸うなどして搬送されていた。うち3人が中等度の負傷。129人は軽傷で、50人は自力で病院を受診していた。
今回は、全国規模でしかも少なくとも出火の半数はテロによるといった出来事は、イスラエル史上、前代未聞で、被害総額も、少なくとも20億シェケル(約600億円)とこれもまた史上最大とみられる。
相当な被害だが、そこで立ち止まらないのがイスラエルである。もっとも被害が大きかったハイファでも、土曜夜には、被害の詳しい調査を終え、日曜には、通常の生活に戻っている。出火原因の一部はテロであることから、できるだけ、早く日常に戻るというのがイスラエルの対処である。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4884557,00.html
<被害者への補償>
イスラエルでは、テロによる被害である場合、法律で、国が全額補償することになっている。たとえば、ガザからのロケット弾を受けて破壊された家は、国が全額再建費用を出すという形である。
カフロン経財相は、土曜夜のうちに、テロによるとみられる火災で、自宅に帰れなくなった被害者全員に、国が見舞金として、1人2500シェケル(約75000円)を支給すると発表した。一家4人の場合は1万シェケル(30万円)ということになる。
また、テロによる火災で被害を受けた建物については国が全額補償するとが発表した。なお、カフロン経財相とネタニヤフ首相は、被害のほとんどはテロによるとの味方で合意している。
しかし、これが良いことばかりではない。個人で火災保険に入っていた人の場合、国の補償が優先してしまうと、逆に補償金額が下がってしまうのだという。
このタイプのテロで、ここまで大規模な被害はこれまでになかったので、国がはたして、全額補償できるのかなど、今後、予想外の様々な課題が出てきそうである。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4884824,00.html
ところで、イスラエル人は、困った時の助け合いに関しては非常に目をみはるものがあるが、今回も火災で焼け出された人々を、緊急にと自宅に迎えるとの申し出が殺到していた。また、諸団体もチャリティ活動を開始している。
www.jpost.com/Israel-News/Israelis-welfare-organizations-rally-to-help-in-wake-of-fires-473732
<ネタニヤフ首相からアッバス議長へ感謝>
火災発生時は、アラブ社会のソーシャルメディアなどで、イスラエルの火災を喜ぶ書き込みがなされていたが、国レベルでは、近隣アラブ諸国も応援の消防隊や消防機を多数派遣した。
イスラエルの消防士2000人とイスラエル軍兵士450人とともに、パレスチナ自治政府、ヨルダン、エジプト、トルコなど、日頃は敵対する国々の消防士たちが、24時間体制でともに消火作業を行った。ネタニヤフ首相は、アッバス議長に感謝を伝えている。
www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4884637,00.html
<放火テロへの報復は?>
テロである場合、イスラエルが、だまってそのままにしておくことはない。これまでに放火の容疑者23人が逮捕され、調査がすすめられている。
右派ユダヤの家党ベネット党首は、焼失した家々は必ず再建し、「西岸地区にさらにユダヤ人の家を建てることがテロへの報復だ。」と語っている。イスラエル我が家党のリーバーマン党首も同様の発言をしている。