安息日もガザ全域・西岸地区で激戦:ハマスがカタール交渉楽観視否定 2024.8.18

IDF

カタールでの交渉は、2日間で終わり、来週、カイロでという流れになっている。しかし、その一方で、イスラエルは、17日、土曜安息日にも、ガザ全土にわたって、ハマス殲滅にむけた激しい戦闘を継続している。

ガザ全土で激戦:パレスチナ人とイスラエル兵も2人死亡

at the Al-Aqsa Martyrs hospital in Deir el-Balah in the central Gaza Strip on August 17, 2024 (Eyad BABA / AFP)

ガザ南部のカンユニスでは、イスラエル軍から、ガザ市民たちに人道地帯へ避難するようにとの指示が出されていた。

その後、地上軍だけでなく、戦闘機やドローンによる空爆で、テロ組織の武器庫や、ロケット団発射施設、地下トンネルなど数十カ所を破壊。ハマス戦闘員が数十人という単位で死亡している。

加えて、あらたにマガジ地域にも、人道支援地域へ避難指示を出し、同様の攻撃を行なっている。

これまでからも激戦だった南部ラファ、ガザ中心部に続くネツァリム回廊周辺でも同様の作戦が続く。海軍による砲撃も行われている。

パレスチナメディアによると、この激戦の中、ガザ中央部で10人が死亡したと伝えた他、イスラエルの空爆で、パレスチナ人家族15人(子供9人と女性3人含む)が死亡したとの情報もある。

一方、17日午後、ガザ中央道路脇にし帰られていた爆弾が爆発し、イスラエル兵(予備役)2人が死亡。2人が負傷した。

死亡したのは、ヨタム・イツハク・ペレド少佐(34)とモルデハイ・ヨセフ・ショアム軍曹(34)。

ペレド少佐は、南部の部隊に装備品などを搬送する担当司令官で、ショアム軍曹は、そのトラックを運転する1人だった。

www.timesofisrael.com/idf-issues-fresh-evacuation-orders-for-central-gaza-says-dozens-of-gunmen-killed/

なお、ガザ地区では、25年ぶりにポリオの感染例が確認され、国連、またIDFもワクチン接種を検討しなければならなくなっている。

西岸地区ジェニンでハマス指導者2人死亡

ガザだけでなく、イスラエルは西岸地区にいるハマスやイスラム聖戦の掃討作戦を続けている。17日夜、西岸地区ジェニンで、イスラエルのドローンによる攻撃で、ハマスの司令官2人が死亡した。

死亡したのは、ジェニン担当司令官ラアファット・ダワシと、シニア戦闘員のアフマド・アブ・アラで、6月と7月の道路脇での戦闘、ヨルダン渓谷でのテロにも関わっていたとされている。

なお、西岸地区ジットでは、過激右派たちがパレスチナ人の村に突入し家や車に放火し、パレスチナ人1人が死亡したが、これに対する報復が叫ばれるニュースが続いている。

ハマスが交渉楽観視否定:アメリカはブリンケン米国務長官をイスラエルへ派遣

Sami Abu Zuhri. (AP/Hatem Moussa)

17日、ハマスのサミ・アブ・ズフリ報道官は、バイデン大統領が、ドーハでの交渉に楽観視を表明したことについてホ否定。

ドーハでの交渉は、アメリカの押し付けにすぎないと語った。ガザで行われている戦闘をみれば、確かに交渉で合意に至る様相にはないといえる。

www.timesofisrael.com/liveblog_entry/hamas-official-optimism-for-ceasefire-hostage-deal-is-illusion/

しかし、アメリカは、今、ブリンケン米国務長官をイスラエルに向かわせており、対処を諦めていない。

イスラエル主要都市で交渉署名して人質解放を求めるデモ

Begin Gate in Tel Aviv, August 17, 2024. (Naama Zeevi Rivlin, Pro-Democracy Protest Movement)

17日は、土曜日である。安息日が明けると、毎週恒例となっている人質解放を求めるデモが、テルアビブ、エルサレム、ハイファなど大規模なデモが行われた。

テルアビブでは、主要野党党首で元戦時内閣メンバーのガンツ氏の姿も見られた。

こうした様子から、ハマスは、アルジャジーラに、「結局のところ、交渉の障害となっているのは、ネタニヤフ首相だ」と言っている。

www.aljazeera.com/news/liveblog/2024/8/17/israel-war-on-gaza-live-israeli-attacks-continue-as-focus-on-truce-talks

石のひとりごと

戦争は長引けば長引くほどに、泥沼化していくことを実感する。とはいえ、今ここで、イスラエルが妥協し、交渉で停戦することがいいことなのかどうかについては、わからないとも感じる。

一方で、大規模なイスラエル人のデモを行うイスラエル人たちの思いも理解できる。とはいえ、それがハマスを加担させることになっていることも否定できない。

いったい何が正しく、何がイスラエルにとって最善なのか。国民の命、国民の要望批判、国の将来。それら全部を背負って立っているネタニヤフ首相。そのストレスはどれほどのものであろうか。その心臓はペースメーカーで動いているのである。

今日も主権者である主に、その選びのゆえに、その主の名のゆえに、イスラエルと、今その王として立てられているネタニヤフ首相を助け、兵たちを守り、導いてくださるように。

その敵として戦っている者たちをもあわれみ、現場にいるすべての人々が、多くの救われないままで死んでいくことを止めてくださるようにと祈る。

石堂ゆみ

ジャーナリスト、元イスラエル政府公認記者、イスラエル政府公認ガイド、日本人初のヤド・ヴァシェム公式日本語ガイドとして活動しています。イスラエルと関わって30年。イスラエルのニュースを追いかけて20年。学校・企業・教会などで講演活動もしています。