今のネタニヤフ政権には、前政権には野党であったユダヤ教政党が連立に入っている。そのため、ネタニヤフ首相も彼らの律法遵守の要求を受け入れざるを得ない状況が続く。
まずは、超正統派に一般教育をある程度義務づけようとする法案が棚上げになったことはお伝えしているとおりだが、今度は、ハイファーテルアビブ間を走る電車の点検修理工事を安息日中に行い、安息日明けの土曜夜の運行開始には間に合わせるはずだった計画にストップがかかった。
ストップをかけたのは統一トーラー党で、作業のどれもが、命に関わるような緊急の必要ではなく、安息日遵守の律法に違反すると政府にクレームを出したのである。
ネタニヤフ首相は、委員会を立ち上げて調査論議を行った結果、これを受け入れ、安息日にはこの作業をしないようにと指示した。結果、修理作業が安息日あけにはじまって日曜に持ちこし、大勢の足に影響することになり、大騒ぎになったものである。
イスラエルでは土曜が安息日で、日曜が、日本でいえば月曜。仕事はじめの日にあたる。
特にハイファからテルアビブ路線は、大都市テルアビブで働く人々が利用する他、週末実家に戻っていた兵士らも、いっせいに巨大な荷物をかついで任地に戻るのに利用する。通常、日曜朝のハイファからテルアビブ行きは、文字通りぎゅうぎゅう詰めの超満員である。
その電車が日曜の夜まで走らないとなると、国の産業と防衛にもかかわる一大事である。イスラエルでは連日トップニュースで大騒ぎになっていた。
結局、日曜朝、イスラエル軍はシャトルを走らせて兵士を運搬し、バス会社エゲッドは、バス50台をエキストラで走らせて、対処にあたることになっている。
しかし、そもそも安息日の土曜日に電車の修理作業をする必要はなく、安息日以外の最も影響の少ない時間に計画することもできたのだという。こういうチョンボの計画を指示したカッツ交通相がクビになるのではないかとも言われている。
が、そこは政治。カッツ交通相がネタニヤフ首相を陥れようとしてわざと計画したとか、逆にネタニヤフ首相がカッツ交通相を陥れようとして、しくんだのではとかいろいろ言われている。